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方法序説｜ルネ・デカルト　要約

※関連した過去動画 【ルネ・デカルト】西洋哲学史解説【方法序説】【我思う、故に我あり】    • 【ルネ・デカルト】西洋哲学史解説【方法序説】【我思う、故に我あり】   ※書籍 方法序説 (岩波文庫) https://amzn.to/3nj4C3d とっつきづらい哲学や心理学の内容を、出来るだけわかりやすく完結に お伝えすることを目的としたチャンネルです。 チャンネル登録、高評価、拡散、ぜひぜひ宜しくお願いいたします。 Twitterもやっています。 色々企画も考えていますのでフォローのご協力お願いします。   / tetsugaku_ch   動画の書き起こし版です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 方法序説は1637年に出版されたデカルト最初の著作です。 500ページを超える科学論文における序文を抜粋したのが本書であり 通例通りのラテン語ではなく、フランス語で書かれていることから 学者だけではなく広く一般市民にも読まれたといわれています。 全6部の構成はこのような感じです。 まず第一部において、デカルトがそれまでの学問に対してどう感じていたか、 そしてそれらを捨て、０から学問を構築することにした理由について 彼の学生時代のエピソードを交えて語られます。 デカルトは学生時代にあらゆる学問を学びました。 しかし、それらは彼に無知を知らせてはくれるものの、 満足させることはできませんでした。 現在正しいとされている学問も、それが本当に正しいかは誰にもわからず 今正しいとされていることは、過去の慣習や前例によって 信じ込まされているだけなのではないか？そう考えたのです。 国によって、真実とされるものがバラバラなのもその思考から説明できます。 そして、このように人々の意見が異なってしまうのは 人間同士で理性の大小に差があるわけではなくて 単純に思考が異なる筋道を通っていて同一のことを考察していないからだと主張します。 つまり、その思考の筋道を一致させないと 人類共通の学問を作り上げることはできない。と。 このような考えから、デカルトは一度学問を全て捨てたといいます。 その上で、０から学問を構築する方法論を模索したのです。 結果、その方法が見つかったと本書で宣言します。 デカルトが特徴的なのは、その方法を一方的に押し付けるのではなく 『間違っているところがあれば指摘してね』 と念を押してから講釈を始めたことにあります。 全てを疑った彼らしい姿勢だと感じます。 2部においては真実を見つけるために必要な『４つの規則』について紹介されます。 １つは『明証的に真であるものしか認めないこと』 独断や偏見を全て排除して明らかに正しいことだけを要素にするわけですね。 ２つ目は『小部分に分割すること』 問題をそのまま捉えるのではなく、できるだけ細分化して考えることが必要だといいます。 ３つ目は『順序立てて思考すること』 分割した問題が複数あるとき、単純なものから複雑なものへと順序を整理し 単純なものから解決していく。という考え方ですね。 最後は『全体の見直しをすること』 思考の結果を必ず見直すことです。 まさに数学の証明問題を解く際に必要なスキームだといえるでしょう。 このような規則をもとに問題に向き合う状態を 『もっともよく理性を用いている状態』であると表現しています。 3部では『もっともよく理性を用いている状態』を実現するための 道徳規則について語ります。 デカルトは2部で触れた規則を用いることで真実に近づくことができると考えましたが 真実に近づくためには思考する環境も重要になります。 本書では、家を建て替えるときにはその最中に住む快適な家が必要であると表現していますが 確かに精神状態が良くなければ、理性の発揮もあり得ません。 デカルトは仮の道徳として３つの条件を挙げます。 １つは『法律や習慣には従うこと』 変に浮世離れした生活をしてしまうとそこには軋轢が生まれます。 このような『ノイズ』を彼は大変に嫌いました。 事実、本書自体も、その内容が問題になることを恐れ、 当初は偽名で出版していました。 ２つ目は『自分の意思を一貫すること』 一度決めたことは、仮にそれが間違えのような気がしてもやり切ること。 ２つ目にこれがくるあたり、彼の真理への覚悟が感じられますね。 最後は『力の及ばないことに心を奪われないこと』 彼は、自分でコントロールできるのは自分の心の中だけだといいます。 どう頑張っても解決することのできない外的な問題はあるものだから その部分に心を奪われるよりも、変えることができる自分の心の中に集中しよう。 これは現代の我々にもダイレクトに突き刺さる言葉でしょう。 以上の条件を満たすことで 『都会に居ながらにして、人里離れた荒野にいるのと同じぐらい 　孤独で隠れた生活を送ることができた』と言います。 4部ではいよいよ核心に迫ります。 万全の状態を準備したデカルトは、 まず、疑えるものは全て廃棄することに決めます。 疑えるということは『明証的に真』ではありませんから そのような材料は排除せねばなりません。 学問はどうでしょう？ 前に触れた通り、前例と慣習の積み重ねである学問はどうしても疑いの余地が残ります。 感覚はどうでしょう？ 人間の感覚は大いに間違えます。これも疑えてしまう。 思考はどうでしょう？ 目覚めているときに持つ思考と全く同じものを夢でも持ててしまいます。 よってこれも疑えてしまう。 このように全てを疑っていくと、 この世の中のすべてのものは明証的に真ではないということになりそうです。 しかし、一つだけ疑えないものが残っていました。 それが『今疑っている私（精神）』です。 全てを偽だと思考しているその瞬間、その主体が絶対的に必要です。 その主体が存在しなければ、疑うこともできないからです。 つまり、今疑っている私自身を疑うことはできないのです。 これがかの有名な 『我思う、故に我あり』 という発想です。 デカルトはこれを哲学の第一原理として設定し、 この絶対的に正しい土台から全てを積み上げていこうと考えたのです。 ここからさらに発展して 絶対的に疑えない私（精神）が明晰に判断できるものは全て正しいとしたり、 私（精神）が自分よりも完全なものについて思考できるということは 自分よりも完全なものが存在して、私を成り立たせている必要があるため それが神の存在証明となると論理展開したり、 この辺りについては後世になって盛大に批判が加えられます。 第5部では、その前提をもとに光や心臓などについて いくつかの持論を展開します。 第6部では全体のまとめと、読者へのメッセージが記されます。 『この本を読んだだけで大きな利益を得られることはない。』 デカルトは自分自身で考える必要性を何度も説いています。 何かの情報を受け取るだけではその利益は限定的で、 それを自分自身で考えることで初めて価値になると言います。 また、情報の受け取り方についても 『私自身が公表したものでなければ、私の意見だと他の人が言っても 決して信じないようにお願いしておきたい』 と残しており、情報を情報のまま受け取ることに否定的だったと考えられます。 方法序説で語られた内容は、哲学史としても非常に重要なものでした。 デカルトが哲学を０から再構築しようとしたのと同様に、 多くの場合、デカルトからの哲学を『近代哲学』と表現します。 しかし、方法序説の価値はそれだけに留まらないと感じます。 我々が自分の生き方を考えるとき、何かの問題解決を図るとき 方法序説はそのヒントになり得る書籍です。 世の中でも最高レベルに難解な形而上学について挑んだ思考方法が 目の前の問題を解決できないとは考えづらいですからね。 自らの哲学を構築していく上で、必読の書だと感じています。 なんせ、これだけの内容がたった100ページほどに収められています。 価格も1000円しません。 余裕があれば絶対に触れておいていただきたい一冊です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー #デカルト #方法序説