太宰初の歴史小説！『右大臣実朝』のあらすじを簡単に解説【太宰治】 скачать в хорошем качестве

太宰初の歴史小説！『右大臣実朝』のあらすじを簡単に解説【太宰治】

この動画では、『右大臣実朝』のあらすじを簡単に紹介します。 動画を見て、この本に興味をお持ちいただけたら、ぜひ読んでみてください。 ▼この本の購入はこちら https://amzn.to/3OqO4H2 　（Amazonアソシエイトを使用） 【無料で読める青空文庫はこちら↓】 https://www.aozora.gr.jp/cards/000035... 【本の情報】 題　名：右大臣実朝 著　者：太宰治 出版社：岩波書店 【動画を作った人】 ●コカツヨウヘイ 　元司書のフリーライター。 ▶︎Twitter：  / librarian__y   【Thanks】 ・イラスト：mari©️o 様 ・BGM：「約束のない日曜日」稿屋 隆 様 　　　 「Your natural」稿屋 隆 様 ・効果音：「次のシーン」稿屋 隆 様 ・画像素材：ICOON MONO 様 ・声：VOICEPEAK 様 ・編集ソフト：Filmora 様 ・デザインソフト：Canva 様 ▼作中で気になった言葉 ・酒ハ酔フタメノモノデス。ホカニ功徳ハアリマセヌ。 ・京都は、いやなところです。みんな見栄坊です。噓つきです。口ばかり達者で、反省力も責任感も持つてゐません。だから私の住むのに、ちやうどいいところなのです。軽薄な野心家には、都ほど住みよいところはありません。 ▼台本 ①12歳の将軍 源実頼は、鎌倉幕府の3代将軍。 彼は政変で追放された2代将軍の兄に代わって、12歳で将軍の座に着くと、後に朝廷の要職である右大臣に任じられるまでにいたる。 これは、実朝が亡くなって20年経ってから、彼に長年仕えていた、とある男が語る物語。 歌人としても知られる実朝は、13、4歳の頃から新古今和歌集などを読み、少しずつ自分でも和歌を作り始めたそうだ。 そして、17歳の頃には、もう立派な歌人に。 無造作にさらさらと書く作品のすべてが、驚くほど鮮やかな歌だったらしい。 そんな実朝は「暗い陰鬱な性格だ」と言われることもあるが、語り手からすると、むしろいつもゆったりしていて、呑気そうな性格に見えた。 実朝の性格を表すエピソードとして、こんな話がある。 語り手の男が仕え始めてからすぐに、実朝は天然痘に罹ったのだが、その後遺症として顔に痘痕が残ってしまった。 ただ、実朝はというと、周りの者の心配をよそに、「すぐ慣れるものです」とけろりとしていたそうだ。 天然痘が癒えてからも、実朝はときどき熱を出した。 そのため、しばらくは安静することになったのだが、熱のない日は周りの者と歌を作り、楽しげに笑っていたらしい。 かといって、政治のほうも怠らず、家臣とは絶えずに会っていた。 年齢を重ねるごとに、実朝の政務の手腕は冴え渡り、御家人同士の私闘も見事に裁くように。 20歳になる頃には、将軍としての貫禄も出てきたそうだ。 ②鴨長明 あるとき、御家人の一人が実朝の歌の相手として、鴨長明を連れてきた。 鴨長明といえば、京都で名を轟かせている歌人。 今は思うところがあって出家し、隠居をしているのだが、この日はわざわざ鎌倉まで出てきてくれることに。 家臣たちは緊張の面持ちで彼の到着を待ち、実朝も朝からお待ちかねの様子だった。 しかし、そこへ現れた鴨長明は、小太りでなんの見どころもない田舎の爺さんとでも言うべき姿。 さらに、彼は宴会の席でも軽々しい態度で、落ち着きがなかった。 そんな鴨長明に、実朝はこう話しかける。 「世を捨てるとは、どのようなお気持ちですか？」 「世を捨てた人の気持ちは、すべて捨てて、狭い家に寝起きしてみなければわからないと思います」 「本当に“すべて”を捨てることができたのですか？」 「物欲を捨てることは容易にできましたが、名誉を求める心はなかなか難しいものでした。今でも捨てきれていません」 実朝は鴨長明に、世を捨てた理由や良い和歌の条件などを次々に聞いていく。 すると、鴨長明はおもむろに、「あなたには、直言してくれる和歌の仲間がいないでしょうから、自分がその役目を果たすためにここへ来ました」と言い出す。 そして実朝に対し、「嘘をお詠みにならないほうが良いです。恋を知らないのに、恋の心を詠むべきではありません」とアドバイスをした。 これを聞いていた実朝は、話の途中で席を立ってしまう。 ただ、怒ってしまったわけではなく、顔には笑みさえ浮かべていた。 奥へ引き上げた実朝は、「あの人も、なかなか世捨て人ではない」と言ったきり、あまり気に留めていない様子だった。 それから実朝は、鴨長明の助言どおり、恋の歌は作らなくなる。 そして、「この頃、和歌がわかってきた」という実朝の歌は、ますます凄みを増していったのだった。 ③和田合戦 実朝が数えで22歳になる年、信濃国の御家人が謀反を企てる。 その計画は未然に露見し、鎌倉中が大騒ぎになった。 しかも、謀反を企てた者のなかには、有力御家人である和田義盛の子どもたちも加わっていたことが判明。 義盛はすぐに実朝のもとへ駆けつけて平伏し、許しを請う。 「子息は許すつもりでいました」 実朝は落ち着いた様子で義盛の子どもたちを赦免し、これで一件落着かに思われた。 しかし、和田義盛はその翌日に、今度は同じく陰謀に関わっていた甥も許して欲しいと嘆願してくる。 この虫の良すぎる話を側で聞いていた執権の北条義時は、実朝に「お許しなさいますか？」と尋ねた。 その言い方には深い意図が感じられたため、実朝は考えを改めた様子で、静かに首を振る。 これを受けて、北条義時が「甥については許容できない」旨を言い渡すと、和田家は激昂し、幕府に反旗を翻した。 しかし、このときの和田の兵は、たったの五百騎。 後に「和田合戦」と呼ばれるこの兵乱は、和田家の全滅という無惨な結末を迎える。 これ以降、実朝は物憂げな様子を見せるようになり、酒の量も増えた。 もはや、政治への興味は失われたようで、政務は人任せにして、和歌のことばかりを考えるように。 それもあって、この年の暮れに金槐和歌集を編んだのだった。 また、実朝が25歳になった頃には、宋人の話を聞いたことがきっかけで、自ら宋へ渡ることを計画し始める。 御家人たちは反対したが、実朝はそれを聞かず、話を聞いた宋人に渡航用の船を作るよう指示。 その目的は「宋へ行く」というよりも、むしろ鎌倉から離れたがっているように見えた。 ④公暁 実朝が数えで26歳になる年に、先代の将軍である頼家の子ども、公暁が京都から鎌倉へやってくる。 18歳の公暁は、筋骨たくましい立派な若者だったが、その笑顔は女々しく、どこか軽薄で頼りない。 実朝に挨拶をしにきた際も、愛想笑いを浮かべていて、実朝は不快に感じているようだった。 公暁が退出してからも、実朝はしばらく黙っている。 それから実朝はこの小説の語り手たちに向かって、「あれには仲間もなくて寂しいだろうから、話し相手になってやってほしい」とお願いした。 これを受けて語り手の男は、数日後に公暁のもとを訪ねる。 訪問を受けた公暁は「部屋の中は暑いから」と言って、一緒に海岸まで出ることに。 それは、月も星もなく、暗い夜だった。 海岸に着くと、そこには大きな船が浮かんでいる。 この船は実朝が渡宋のために宋人に作らせたものだったが、任された宋人の計画が甘く、船が作られたところで頓挫してしまっていた。 この船を見た公暁は、「これで本当に宋へ行こうとしていたのかな」と語り手の男に話しかける。 そして、実朝に対する不平を並べ始めた。 「どうも私は、前からあの人のことが苦手だ。あの人は、私のことをひどく嫌っているらしい」 「あの人が京都を慕いながら、一度も京都へ行かない訳を知っているか？田舎者だと言われるのが怖いのだ」 主君の実朝への悪口を聞いた語り手は腹を立て、公暁に斬りかかる。 しかし、公暁はそれをひらりと避け、さっさと帰ってしまったのだった。 さて、それから2年後の正月、公暁は八幡宮へ拝賀していた実朝に襲いかかる。 そして、二太刀目で実朝の首を切り落としてしまったのだった。 このとき、公暁は「父の仇を討つ」と叫んでいたという。 #太宰治 #右大臣実朝 #読書猫の名著案内