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江戸時代の伊勢参り、実は逃避行だった。信仰ではなく自由を求めた四百万人…【闇江戸】

江戸時代の伊勢参り、実は逃避行だった。信仰ではなく自由を求めた四百万人…【闇江戸】 文政十三年、日本各地から推定四百万人が伊勢神宮への参詣に向かいました。しかし彼らの多くは、信仰ではなく別の理由で旅をしていました。十四歳の百姓の息子・勘助は、田植えの季節に家を抜け出して村からの逃避行として伊勢を目指します。三十八歳の下級旗本・源之助は、銀五十貫の借金から逃れるために刀を質に入れて旅に出ました。十九歳の遊女・お染は、客の財布から十両を盗んで遊郭の窓から逃げ出し、男装して東海道を歩きます。東海道は数百万人の巡礼者で溢れ、まるで人間の川のように流れていました。しかし道中には危険も多く、詐欺師が偽の護符を売りつけ、人攫いが女性を狙い、宿場町では暴利を貪る商人がいました。さらに帰路では金が尽きた巡礼者が餓死や病死し、東海道には死体が散乱しました。それでも巡礼者たちは互いに助け合い、見知らぬ者同士が食料を分け合い、病人を看病しました。三人は偶然伊勢神宮の参道で出会い、共に祈りを捧げますが、彼らが求めたのは神の御利益ではなく自由でした。伊勢参りは表向き宗教行為でしたが、実態は身分制度からの一時的な解放であり、集団ヒステリーの発散でした。この大移動が意図せず日本を統合し、やがて明治維新につながる国民意識の萌芽となったのです。 #江戸時代 #伊勢参り #抜け参り #ええじゃないか #東海道