“住宅倒壊”杉並区は以前から危険性認識　専門家「狭い路地での補強難しい」【報道ステーション】(2025年10月1日) скачать в хорошем качестве

“住宅倒壊”杉並区は以前から危険性認識　専門家「狭い路地での補強難しい」【報道ステーション】(2025年10月1日)

先月30日夜、杉並区で起きた住宅の倒壊事故。今年1月に撮影された画像を見ると『擁壁』と呼ばれる住宅の土台部分を覆う壁に大きな亀裂が走っているのが分かります。近隣住民は「絶対に崩れると思っていた」と語り、危険視する声が広がっていました。 ■住宅街で“突然”住民は無事も… 現場は丸の内線・方南町駅から300メードルほどの場所にある住宅街。倒壊した住宅の隣にあるマンションは去年、夏にできたばかりでした。 マンションの住民 「ドカーンっていう音。それがどんな音か1階に下りて見に行った。そしたら2度目がドカーンと倒れてきた。建物がね」 通報があったのは午後7時20分ごろ。倒壊した住宅には50代の男性と20代の息子が住んでいました。当時、息子は外出中で、父親も倒壊する前に避難していたといいます。その父親と会話していた住人がいました。 近隣住民 「家が傾き始めた時に避難したそうです。私が話しかけた時『飼い犬を探している』と。犬は見つかったかと聞いたら『見つからなかった』と」 （Q.何で崩れたと） 「それについては何も」 ■1年半前　すでに“大きなヒビ” 周辺はもともと田んぼや畑が広がる地域でした。倒壊した住宅ができたのは1968年。高度経済成長期の都市開発と相まって、あっという間に一帯が住宅地になりました。 去年3月に撮影された画像を見ると、マンションはまだ建設中。車が通れないほどの細い道を挟んだ向かいに、今回倒壊した住宅が建っていました。斜面などで土砂が崩れるのを防ぐための壁、擁壁に大きなヒビが走っているのが分かります。そして、去年11月の画像では、近寄らないよう簡易的な対策が施されていました。今年1月には注意書きに「杉並区」の文字が。少なくともこの時点で、区は擁壁の危険性を認識していたということになります。 今回まさに、このヒビのあたりから擁壁が崩れ落ちていました。何が起きていたのか、杉並区に聞くと。 杉並区 「崩れた擁壁については、所有者に対して補強工事などをするよう指導していました。先週、所有者から『工事が可能な業者が決まった』と連絡があったなかでの事故でした」 いつから事態を把握していたのか。区は「現在、調査中で分からない」としています。 5月に入居したマンションの住民 「ベランダを開けたら擁壁が真ん中でひび割れて膨らんでいた。これは絶対に崩れるなと。妻と子ども2人に『絶対通っちゃだめ』と言っていた」 （Q.区は把握していた） 「していたと思う。住民の方も補助金などで杉並区に相談していると聞いた」 ■専門家「道が狭く補強難しい」 建築の専門家によると、擁壁の強度自体が足りなかった可能性があります。 建築エコノミスト　森山高至氏 「『二段擁壁』みたいに見える。下の段を作った後に、上にかさ上げしている感じ。堅実というか固い状態で擁壁が一体化されていないのでは」 また、土の中に溜まった雨水を逃がすための水抜き穴は、擁壁の上の段には確認できません。 建築エコノミスト　森山高至氏 「雨が降ると当然ながら雨水が中にしみ込んでいく。擁壁が水をためたダムのような状態になる。出口を求めて水が境目・ひび割れに集中、徐々に浸食して事故につながっている可能性」 崩れないよう対策を取るにも道の狭さがネックになるといいます。 建築エコノミスト　森山高至氏 「路地みたいに狭い。大きな重機も入らない。上にある建物を壊さずに擁壁を補強するのは非常に難しい。擁壁工事は、ただ壁を作ればいいのではない。擁壁の根本の基礎工事も要る。地盤が悪ければ杭を打つ可能性も出てくる。普通の建築工事以上に神経を使う、手間がかかる。少なくとも1000万円以上かかる」 杉並区によると、何らかの問題がある擁壁は、この現場の他にもあるといいます。これまでも指導をしていて、改めて緊急点検を行う方針だということです。 ■“危険な家屋”自治体どう対応する 危険な状態の建物が近くにある場合、どこに連絡すればいいのでしょうか。住宅のトラブルなどについて詳しい、関口郷思弁護士に聞きました。 関口郷思弁護士 「今回のような擁壁や、損傷している住宅などの“危険な家屋”を見つけたら、自分が住んでいる自治体の建築課などに連絡してほしい」 自治体が“危険な家屋”にどう対応しているのか、東京の足立区に詳しい話を聞くことができました。足立区では、条例でこのように定めています。 住民から“危険な家屋”があるとの相談や報告があった場合、まず区の担当者が当該物件について、人が住んでいるか、空き家かどうか状況確認。住民や空き家の所有者が見つかれば、危険な状態を解消するよう指導。改善されない場合、審議会に諮るため、建物の崩壊の具合や傾斜、窓ガラスのひび割れなどの調査。審議会で特に危険と認められた建物に対しては、解体工事の助成金（※木造2階建ての場合、上限150万円）を出すこともできるということです。ただ、修繕のための助成金はありません。 助成金が出るとは言え、自分が住んでいる家の解体に同意してくれるかは難しいところで、基本的にはお願いを続けるしかないということです。実際に足立区の場合、“危険な家屋”の住民に助成金を出して解体工事することを要請しましたが、断られたこともあったといいます。 人が住んでいても緊急性が高い“危険な家屋”に対応する術はないのでしょうか。 関口郷思弁護士 「例えば隣の家の大規模な擁壁などが倒れてきて、人命に危険が及ぶような場合、こういった手段が考えられる。行政の場合、行政の判断で補修工事などの措置を取ることができる。個人の場合“仮処分”手続きを裁判所に求めて、必要な工事などを行うことができる。いずれにしても、費用は一時的に立て替えて、後で当該物件の所有者に請求することになるが、費用を回収するのは難しいため、どちらの方法もハードルが高い」 [テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp