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「お父ちゃんの唄」ディランズ・チルドレンwith呆平＆音居木屋LIVE　in嵐山 ・音や 2013

詞／曲：ドクトルミキ COPYRIGHT© Dr.Miki ALLRIGHTS RESERVED. [ディランズ・チルドレン] 唄・ギター：ドクトルミキ ギター・ハープ・コーラス：石山雅人 ベース・コーラス：中野ネコたろー [呆平] E.ギター：ハマッチ コーラス：ユキネー [音居木屋] ギター：春 コーラス：里 2013年10月14日　京都嵐山・「音や」にて収録 動画編集：ドクトルミキ 「お父ちゃんの唄」　　詞／曲　ドクトルミキ　 お父ちゃんは僕が　十八のとき死んだ 病院に入って　三日目の朝だった 下町の薬剤師で　風邪薬なんかを売った一生 お父ちゃんとあの頃　口をきかなくなってた でもいつかの日か　笑いあえると思ってた そやのに五十二で　死んでしもたお父ちゃん 　おまえが誰かときかれたら 　唄うたいやと言う前に 　お父ちゃんの子やと答えたる 気弱で喧嘩が　できなかったお父ちゃん 絵や写真や文が　うまかったお父ちゃん ハモニカを逆さまに　吹いてたお父ちゃん 　おまえが誰かときかれたら 　唄うたいやと言う前に 　お父ちゃんの子やと答えたる いいことばかりは　ないもんさ　 それでも記憶は　輝きを増していく 嘘でも憎しみでも　それが愛ならなおさらの事 　おまえが誰かときかれたら 　唄うたいやと言う前に 　お父ちゃんの子やと答えたる 　　おまえが誰かときかれたら 　　唄うたいやと言う前に 　　お父ちゃんの子やと答えたる ドクトルミキCD「忘れもの」収録 僕の親父、篠原広祐が息を引き取ったのは生野区の生野病院でした。 1977年9月4日でした。生野病院は当時はボロい病院でした。 二階か三階の病室だったと思います。 親父の死んだ朝、なんかキツい婦長に云われ 死んだ親父のヒゲを電気剃刀で剃ったのですが、 ヒゲが固くて剃りにくくそのキツい婦長に「早くしなさい」と文句を言われ、 悲しいのと腹が立つので涙が滲んだのを覚えてます。 あのころはまだ役所の対応がツッケンドンだったり、 病院に良くしてもらうのに付け届けが要ったり （母が缶詰の詰め合わせを看護婦さんに渡してから対応が良くなった。どんなんやねん。）今思えばまだ古い社会でもありました。 この唄は作った時に悩んだのです。 あまりに個人的なことやし 唄いたい気持ちと唄いたく無い気持ちが心の中で拮抗して、 唄わんとこかいなとも思いました。 特にこの親父の唄は、自分自身の父を憎んだりしてる方には疎ましいだろうと云う気がありました。 僕も親父が死んだ頃、親父とはうまくいってませんでした。父は他人の借金を抱えてしまい、 苦しみから逃れるために酒量が増えていたし、私学の大学にしか入れなかった僕に 親父は失望しててよく愚痴を言われてました。親父の倒れたその日も、まだ高校3年だった 当時の彼女と会い親父の悪口を云ってました。その夕方、倒れたという知らせを聴いたのです。 だから親父が死んでからずっと後悔をしました。それでいくつも親父に謝る唄を書きました。 でも心の奥から「違うで」という声が聞こえた。あれは親父の声だったかもしれません。 46才になったある日、環状線の鶴橋の駅あたりで、携帯電話のメールを使い この歌詞を書いたのです。もう「違うで」という声は聞こえて来ませんでした。 メロディは初めは8ビートのロックで出来ましたが、今はバンド「ディランズ・チルドレン」で演奏する時用にしています。一人で唄う時はバラードの方で演奏する事が多いです。 CDには両方のアレンジで入れました。賑やかな「お父ちゃんの唄」で始まり、 静かな「お父ちゃんの唄」で終わるようになってます。忘れものを取り戻したような そんな気がしました。お父ちゃんもお母ちゃんも今は天国で仲良くしてる気がします。 おじいちゃんやおばあちゃん、叔父さん叔母さん、生野の近所の人々とみんな一緒に。