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志賀直哉が暗夜行路に描いた家(旧志賀直哉邸) 河野仁明著、「京都現代文学の舞台」の148頁には以下の記述がある。 「志賀直哉は、京都に二度住んだ。一度目は大正三年九月、三十二歳のときから翌年四月まで、当初、南禅寺北の坊に住んでいたが、三年12月に結婚して、市外衣笠村に新居を構えた。『彼は二階に書斎を決めた。机を据えた北窓から眺められる景色が彼を喜ばした。正面に丸く松の茂った衣笠山がある。その前に金閣寺の森、奥には鷹ヶ峯の一部が見えた。それから左に高く愛宕山、そして右に一寸首を出せば薄く雪を頂く比叡山が眺められるのである』(『暗夜行路』第三・十四)」とある。 これらから、我が祖父、吉武逸馬が長年住んで最終的には買い求めたこの京都の家は大正三年1914年12月に建てられたことになる。 志賀直哉が住んだ期間が短かったことから、ネット等で、吉武家のこの家に住んだという記録は浮かんでこない。しかし、近所の人(橋本氏や、町内会長、山本氏)の話では、有名な話で、立命館大学の先生が取材にきて写真を撮っていったとか、テレビ局か何かが二階で撮影していったという話を聞いた。 志賀直哉の家を検索すると、数寄屋造りが好きで、大正14年に奈良に移り、昭和4年に、京都出身、1951年生まれの数寄屋大工、升田志郎を京都から呼び寄せて奈良に家をたてさせ、そこから9年かけ暗夜行路を書き上げたとのこと。もしかすると升田志郎氏であれば、誰が京都のこの家を建てたか知っておられたかもしれない。