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熟年離婚で破産!? 意気揚々と第2の人生に臨んだ50代女性を待ち受けていた「年金分割」の落とし穴…年金事務所で青ざめた理由 3/1(日) 10:00配信 集英社オンライン 熟年離婚するも週5労働  離婚後も年金をもらえると大誤算しているケースも(写真/shutterstock) 年々増加する熟年離婚。価値観の合わない夫とは別れて、第2の人生を楽しみたいという女性も増えてきた。だが、離婚後も年金分割制度があるから安心……なんてことはない。熟年離婚と年金受給に潜むリスクとは――。 【画像】熟年離婚をする前に知っておくべきこと 永峰英太郎氏の書籍『人はこんなことで破産してしまうのか!』より一部を抜粋・再構成し、熟年離婚するも働きづめになってしまった59歳の女性の事例を紹介する。 熟年離婚で破産しかけている 「人口動態統計」(厚生労働省)によると、同居期間20年以上の夫婦の「熟年離婚」の離婚数全体に占める割合は、2023年で23.5%と、過去最高となっている。 ちなみに、1980年は7.7%である。昨今の熟年離婚の多さが実感できるだろう。 熟年離婚が増えている大きな要因は、平均寿命が延びている中、定年後の夫婦での生活が長くなり、価値観の違いや生活スタイルの不一致が顕在化することが挙げられる。 さらに離婚というものが「普通のこと」となり、後ろめたさを感じる人が少なくなったことも大きい。 また、共働き世帯の増加や年金分割制度の導入により、女性が経済的に自立しやすくなった側面もある。 年金分割制度とは、離婚した際に「夫婦で築いた厚生年金の報酬比例部分」を分割できる制度で、2007年4月に導入された。この制度が、熟年離婚が増えた一因ともいわれている。 熟年離婚は、女性から切り出すケースが多い。三重県に住む59歳の女性もそうであった。自ら夫に「離婚したい」と伝えた。 「夫の介護はごめんだ」と離婚 この女性の場合、50代前半に結婚したが、5年間一緒に暮らして、どうしても価値観の違いを解消できなかった。 しかし、お金のことを考えると、離婚を切り出すことができなかった。熟年離婚は老後が迫っている中でするため、経済力や貯蓄が十分でないと難しい。 しかし、女性は、年金分割制度の導入により「何とかなる」と離婚を決意したのであった。 じつはこの女性の場合、離婚の理由として、夫の介護をしたくない気持ちも強かった。 夫とは同い年であったが、最近では夫の体力が目に見えて衰え、近い将来自分が夫を支える可能性もあると感じていたのだ。それだけはごめんだ――。 夫には一切の非がない。 それだけに夫は「この家は僕が買ったわけだし、僕が住むよ。そして今後、資金援助はしない」と言った。「わかった」と、女性は答えた。 年金分割制度にひそむ大きな落とし穴 離婚の手続きが終わり、一段落すると、女性は年金分割制度の説明を受けに年金事務所に出向いた。そこで、こう説明された。 「年金分割制度は、厚生年金の部分のみで、国民年金には適用されません。それと、厚生年金については元夫が加入していた40年間ではなく、あなたと婚姻していた期間の5年間のみが適用されます」――。 女性は真っ青になる。それでは、月数万円程度にしかならないからだ。 しかも、である。 女性はずっとフリーランスで働いていたため、自身の厚生年金はゼロであった。さらに国民年金についても「こんな制度、私が定年になる頃には破綻しているはず」と、保険料を支払ってこなかったのである。 女性は、「夫婦で貯めた貯金や保険」については元夫から半分受け取っていたため、懐には現時点で1000万円程度ある。 しかし、現在住むマンションは家賃8万円で、月20万円の支出があるため、5年程度で底をつく計算となる。 悠々自適な暮らしなどかなうはずもなく、女性は今週5日、介護施設で働いている。そして日々「病気になったら、私はどうなってしまうのだろう?」という不安に苛まれている。 離婚とお金 熟年離婚は、今の時代、特に珍しいことではなくなった。本文でも触れたように、「性格・価値観の不一致」「女性の社会進出と経済的自立」などがその要因である。 しかしながら、その場の勢いだけで離婚を選んでしまい、のちに後悔するケースも多い。その理由のトップは金銭的な問題だ。 2022年度の「家計調査年報」(総務省)によると、65歳以上の女性単身世帯の1か月あたりの支出は15万5495円というデータがある。持ち家がなければ20万円以上になるだろう。 本当に、それだけのお金を捻出できるのか。自分自身が年々老いていくことも考慮しながら、しっかりと考えて、離婚するか否かを決めることが大切だ。 ◆ポイント ・熟年離婚は、安直に決めてはダメ ・月にいくら年金がもらえるのかを計算しておく ・年金分割制度の盲点をしっかり把握せよ! --------- 永峰英太郎(ながみね えいたろう) 1969年、東京都生まれ。明治大学政治経済学部卒業。業界紙・夕刊紙記者、出版社勤務を経て、フリー。企業・農業・人物ルポを得意とする。 主な著書に『日本の職人技』『「農業」という生き方』(以上、アスキー新書)、『家系図をつくる。』(自由国民社)などがある。また、母親の死や父親の認知症の体験をもとに『70歳をすぎた親が元気なうちに読んでおく本』(二見書房)、『親の家を売る。』(自由国民社)、『マイナス相続サバイバルガイド』(東洋経済新報社)なども多数出版。 ---------