残るデブリ約880トン 福島第一原発 廃炉への「現在地」【東日本大震災から14年】(2025年3月11日) скачать в хорошем качестве

残るデブリ約880トン 福島第一原発 廃炉への「現在地」【東日本大震災から14年】(2025年3月11日)

■廃炉「最大の難関」　核燃料デブリ 2024年11月。事故後はじめて、核燃料デブリは福島第一原発の2号機から試験的取り出しに成功しました。重さは、約0.7グラムと非常に小さく軽いものですが、原子炉の格納容器の底には、まだ沢山のデブリが冷え固まった状態で 存在しています。その量は、1号機、2号機、3号機合わせて推計880トンあるとされています。事故から14年、廃炉への道筋は“いま”、どこまで描けているのでしょうか？佐々木一真記者が取材しました。 2025年2月。放射性物質を含む水を浄化処理した“処理水”のタンク解体が始まりました。跡地は、核燃料デブリ取り出しの関連施設が建てられる予定です。デブリの取り出しに成功した2号機近くは… 東京電力の担当者 「デブリに触れた汚染水が流れているので、高い場所も残っています」 佐々木一真記者 「あ、今線量鳴っていますね。やはり線量は高い場所ということが分かります。ちょっと離れましょうか」 事故前の原子炉建屋のカプセル状のものが鋼鉄製の圧力容器。その外側にあるフラスコ状のものが格納容器です。デブリは、2号機からどのように取り出されたのでしょうか？ ■事故から13年余り…デブリ試験的取り出し 今は入ることのできない2号機と構造がほぼ同じ5号機に向かいました。ここから先は、防護服などを着用しなければ入ることができません。 佐々木一真記者 「2号機でいうとデブリはどのあたりに溜まっていることが分かっている？」 東京電力の担当者 「上からぽたぽたと落ちたものが、そこに60cm～70cmくらい堆積しているものがカメラでとらえられているんですね」 2号機で溶け落ちた核燃料は、この床を突き破りました。底には、茶色い核燃料デブリがたまっています。穴に入れた回収装置を格納容器の中に送りこみ、釣り糸を垂らすように下ろして、デブリを掴む計画でした。しかし、試験的取り出しをめぐっては、作業員が回収装置を押し込むパイプの接続手順を間違えるなど、トラブルが相次ぎました。 デブリ回収作業を担当した東京電力の社員は「やはり線量が高いので、作業ができたとしても15分～30分というような状況でした。」と話します。 はじめて取り出しに成功した映像には、装置先端の爪のような部分がデブリを掴む様子がうつっています。今回のデブリ取り出しは廃炉に繋がるのでしょうか？私たちは、デブリの大きさや、形状を知るため、国の研究機関が公開する資料をもとに再現しました。 完成した実寸大のデブリの模型は、金平糖くらいのサイズ感です。13年余りの歳月をかけて取り出された実際のデブリも、小石ほどの大きさで、僅か0.7グラム。1号機から3号機で推計されているデブリの総量は880トンで、12億倍という途方もない量です。 ■廃炉の実現へ　デブリの分析続く 果たして全てのデブリを取り出すことは可能なのでしょうか？廃炉の実現に向けて、分析が進められている茨城県・大洗町にある国の研究施設を訪ねました。 JAEA（日本原子力研究開発機構）の担当者 「中に固定されて銀色の粒があると思うんですけど、事故の後、時間がたって変化したわけではなくて、フレッシュな状態、事故当時の状態を保存しています」 ガラス越しに見えるのは、取り出されたデブリの一部です。先月、初めて公開されました。デブリは、表面の分析が行われたあと細かく分解。内部の構造などを知るための貴重なサンプルとして、5つの施設で研究が続いています。これまでの分析で新たにわかったことは… JAEA（日本原子力研究開発機構）の担当者 「表面の特徴的な組織について、どういう元素が存在しているのかというのを確認した状態になります。この粒の丸い部分を見ていただくとこれが、ウランが存在していることを示している」 表面上には、核燃料の主な成分であるウランが広く確認された一方、事故当時、核燃料を冷却するために注がれた海水の可能性がある成分などが見つかりました。また、光沢は、原子炉内の部品に使われる金属の可能性があるということです。 東京電力は、取り出しと分析を繰り返すことで、今も残る大量のデブリの状況を掴み、大規模取り出しへの道筋をつけたいとしています。国と東京電力が目指す「2051年までの廃炉」は実現可能なのでしょうか？ ■「2051年までの廃炉」　専門家の見解は デブリの大規模取り出しについて、東京電力は年内に大まかな設計をまとめ、2051年には廃炉を完了させるとしています。 一方、廃炉について国などに提言をしてきた原子力学会・廃炉検討委員会の宮野廣委員長は「2051年までの完了は非常に難しい」と指摘しています。というのも、880トンものデブリを、どのように取り出していくか？具体的な方法は現在も模索中なんです。その方法を決めるにあたり、今回のような取り出しを10回ほど繰り返す必要があるだろうということです。廃炉検討委員会は、廃炉完了まで100年以上かかるという試算を出しています。 [テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp