ロシア軍の死者数発表にズレ 「士気低下」分析もプーチン大統領は軍を鼓舞 скачать в хорошем качестве

ロシア軍の死者数発表にズレ 「士気低下」分析もプーチン大統領は軍を鼓舞

ロシア軍の死者数について、ロシア国防省の発表（25日）とウクライナ軍参謀本部の発表（27日）ではズレが。また、ロシア軍将官死亡の報道や、「軍の士気低下は深刻な問題に」なっているという分析も出る中、プーチン大統領は軍を鼓舞するメッセージを発信。専門家はロシア軍の内部について、「厳しい状況になっている可能性が十分高い」と指摘します。この先考えられる展開とは？モルドバ共和国の立場とあわせてみていきます。 ■ロシア軍 死者数1万人超か　ロシア発表とは大幅なズレ 井上貴博キャスター： ロシア軍の死亡者数の発表について見ていきます。 〈ロシア軍の死者数〉 ▼ロシア国防省の発表…1351人（25日時点） ▼ウクライナ軍参謀本部の発表…約1万6600人（27日時点） ▼NATOの発表…7000～1万5000人（23日時点） それぞれの組織、国が自分たちの思惑でロシア軍の「死亡者数」を発表しているということが言えますが、他にも五月雨式にロシア軍内部に関する情報が出てきています。 3月26日のイギリス・タイムズ紙の報道です。 「ウクライナ南部へルソン近郊でロシア軍の中将が死亡」 これまでにイギリス側の報じ方ではロシア軍の将官7人が亡くなったとしています。 その理由について、3月23日のニューズウィークでは 「ロシア軍の兵士が電子通信機器の故障で居場所を特定されやすくなっている」「若い徴収兵への指揮のために前線に将官クラスの人間が配置される」 つまり「準備不足が原因ではないか」と報じています。 アメリカの戦争研究所の3月26日の発表によりますと 「ロシア軍の兵士が戦車で司令官をひいて殺害した」「指揮官が自殺した」 として「ロシア軍の士気低下は深刻な問題にある」としています。 一方、プーチン大統領は3月27日にロシア軍を鼓舞するメッセージを発信しました。 「親愛なる同志たちよ。最愛の勇気とプロ意識を持ち、困難な任務を有能かつ正確にこなしています。国全体があなた方ひとりひとりを誇りに思っています。私は感謝したい」 ■ウクライナとロシアの士気の違い ホラン千秋キャスター： 畔蒜さん、ロシア軍内部は今どのような状況でしょうか。 笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん： プーチン大統領の激励を裏返せば、ウクライナ側は圧倒的にこの戦争の大義名分があるわけです。だから非常に士気が高い。逆にロシア側は何のために戦っているのかと、必ずしも明確ではないということで、どうしても士気が落ちていくということがあるのかもしれませんね。 ホランキャスター： ウルヴェさんはメンタルトレーニングの指導士ですが、こういった過酷な状況にいる人の精神状態についてどのように分析されますか？ メンタルトレーニング指導士 田中ウルヴェ京さん： ロシア軍の兵士のことをできるだけ推察すると、やはり一人の人間なので、元々は大義名分があったかもしれないが、それがもしかしたら違うのかもしれない、となったときに意識が低下するのは当然かなと思います。 ■次の標的になる可能性も「モルドバ共和国」 井上キャスター： プーチン大統領が何を考えているのかはわかりませんが、次にどんな戦略が描かれているのでしょうか。 次の標的と言われているのが「モルドバ共和国」です。モルドバはEUやNATOには加盟していません。九州よりやや小さいくらいの面積で、約3万4000平方キロメートル。人口は大阪市とほぼ同じ264万人。その約15％に当たる約38万人をウクライナから避難民として受け入れているという状況です。 もう少し調べると、1990年に国境沿いの「トランスニストリア」という地域に暮らすロシア系住民が独立を一方的に宣言したという経緯があり、武力紛争になりました。現在は停戦状態です。モルドバ政府の統治がこの「トランスニストリア」という地域には及んでいません。 このことは何を意味するのでしょうか。プーチン大統領はウクライナの南側・黒海が大変重要だとしています。黒海に沿ってウクライナの都市・オデッサまで制圧できると、モルドバのロシア系住民が住む地域にはロシア軍が駐留しているのでモルドバと陸続きで繋げることができます。このことから「オデッサ、モルドバあたりを重要視しているのではないか」といった分析になります。 ホランキャスター： 畔蒜さん、モルドバという国やその一部地域はどのような立場をとっている場所なのでしょうか？ 笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん： モルドバ政府自体は欧州に接近するという立場を明確にしている国です。隣国・ルーマニアとの関係も言語を含めて非常に関係の深い国です。 ホランキャスター： そうすると、モルドバとしての立場とロシアへの向き合い、それからEUへの向き合い、どのようにバランスをとっていくのでしょうか？ 笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん： モルドバにとって難しいのは、ウクライナと同様にNATOの加盟国ではないということですね。ジョージアも同じですが、万が一軍事侵攻のようなものがあると非常に苦しい立場に追い込まれる。今のうちに警告を発しているということだと思います。 （28日17:51）