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アメリカとイスラエルが仕掛けたイランへの軍事攻撃は、報復の連鎖を引き起こしています。イラン側は「ホルムズ海峡の封鎖」を表明し、対立の長期化が懸念されています。私達の生活にはどのような影響が出るのでしょうか。イラン情勢に詳しい、日本エネルギー経済研究所・中東研究センター長の坂梨祥さんの解説です。 イランの革命防衛隊は2日、ホルムズ海峡を「封鎖」すると表明しました。ホルムズ海峡は世界の供給量の約2割の原油が通過しているとされる海上エネルギー輸送の大動脈。日本の石油輸入の約8割はホルムズ海峡を経由していて、封鎖されると影響は避けられません。 Q.ホルムズ海峡の封鎖表明はこれまでにもあった? 坂梨さん 「これまでも、イランが『自分たちが追い詰められたときにはホルムズ海峡を封鎖できる』と言ったことは何回もありました。ただ、ホルムズ海峡を封鎖するということは、イランもここを使えなくなるということで、それはイランにとっても自分の首を絞める行為ではないか、本当に封鎖したら世界を敵に回すのでまずしないだろう、と言われていました。つまりホルムズ海峡の封鎖は”切れないカード”だと言われていたんです」 Q.なぜ今回は封鎖に踏み切った? 坂梨さん 「イランがアメリカとイスラエルから非常に大きな攻撃を受けていて、体制存続の危機だと思っているためです。体制が倒されないで済む方法があるのなら、できる限り何でもやるという状況になっています」 Q.ホルムズ海峡の封鎖はイランにとっても困るのでは? 坂梨さん 「イランがしているのは完全な封鎖ではなく、警告を聞かずにイランに敵対的な国の船がホルムズ海峡を通った場合に攻撃するということです。今の段階では自国の船が通れないことは考えにくいので、自分の首を絞めるような状況にまでは至っていません」 ホルムズ海峡について、イランの革命防衛隊は「通過を試みる船舶は全て焼き払う。この地域から1滴の石油も出させない」とメッセージを出しています。資源エネルギー庁によると、日本の原油備蓄は去年12月末時点で、国家備蓄と民間備蓄をあわせて254日分です。 Q.封鎖が長期化して、日本の備蓄が枯渇する可能性もある? 坂梨さん 「日本では、万が一の場合にも石油の安定供給を維持する方針のもとに備蓄体制がとられていて、8カ月分あれば大丈夫と想定しています。今回の封鎖が8カ月も続くと思ってる人はあまりいないと思いますが、イランの行動自体がホルムズ海峡の封鎖を含めて前代未聞なので、注意が必要です」 日本に石油が入ってこないと、ガソリン価格が高騰するおそれがあります。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストによると、最も悲観的なシナリオでは、ガソリンの暫定税率廃止の効果が打ち消されてしまうということです。 原油価格は2008年頃に109%近く上昇したことがあり、もし今回も同じように上昇すると、レギュラーガソリンの小売価格が328円/Lまで跳ね上がるという試算もあります。 Q.ホルムズ海峡の封鎖がガソリン価格に与える影響は? 坂梨さん 「ホルムズ海峡の安全航行が保たれなければ、通過しようとするタンカーが減ります。そんな中でも、必要に迫られてホルムズ海峡を通ろうとした場合には、戦争中なので船にかかる保険の額がとても高くなります。石油の供給量が減るだけではなく、保険の額も値上がりするので、戦争が続く限りガソリン価格の値上がりは避けられません」 ・坂梨祥さん 日本エネルギー経済研究所 中東研究センター長 専門はイラン・中東地域の政治や国際関係 (『newsおかえり』3月3日放送)