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「痛みの診断と治療」山口大学医学部附属病院麻酔科蘇生科 原田英宜 助教

山口大学医学部附属病院・麻酔科蘇生科では、外科系全般の手術麻酔を担当するとともに、各診療科と連携して、術前・術後における合併症の治療や痛みのコントロールといった、周術期管理を行っています。 また、ペインクリニックでは、さまざまな痛みの治療と緩和ケアを担当し、患者さんの「痛み」に対する診療を他科の先生方と連携したチーム医療で行っています。 今回は、痛みの診断と治療についてお話いたします。 ■痛みのメカニズムと診断 　「痛み」というのは、患者さんにとって非常につらいものですが、一方で病気やケガなど体の異常を知らせてくれる重要なサインでもあります。痛みの多くは、痛みの元となっている病気やケガを治療することで治まりますが、原因となっている病気やケガが治った後でも痛みが残ったり、また原因となる病変が見当たらないにもかかわらず痛みが発生することがあります。 そのような痛みに対しては、原因を正確に診断しなくてはなりません。まず問診と身体診察を行い、痛みの発生元となっている箇所をつきとめていきます。 　「痛み」は、神経を伝わる電気信号が脳に届くことによって感じるわけですが、病気やけがの痛みではなく、神経や脳の異常が原因で痛みが発生することがあります。神経障害性疼痛という言葉を耳にする機会も増えてきました。神経障害による痛み場合、痛みの原因となっている神経を特定し、治療を行います。 ■ペインクリニックにおける痛みの治療 　「痛み」の原因となっている神経に対する治療は、神経ブロック療法・薬物療法・運動療法の3つに分けられます。 　神経ブロック療法は、エコーやレントゲン装置を使って局所麻酔と炎症を抑えるためのステロイド剤を注入する治療です。痛みを素早く緩和させるとともに、原因となる神経を治療します。最近では、正常な神経への影響が少ないパルス高周波療法や、特殊なカテーテルを留置して効果時間を延ばす最新の治療法も行っています。 薬物療法では、鎮痛効果のある薬剤の投与に加え、痛みが引き金となって起こる様々な体の不調を和らげる薬を併用し、「痛み」と「痛みによるつらさ」を緩和する治療を行います。 　そして、高齢の患者さんなどで特に重要になるのが運動療法です。体のもつ機能が十分に働くことで、生活の質を上げるとともに、痛みの遷延を予防することができます。山大病院のペインクリニックでは、整形外科やリハビリテーション科の先生と協力して、患者さんの状態に合わせた適切な運動療法の指導を行っています。 　慢性的な“痛み”は、患者さんの生活の質を落とすばかりでなく、肉体的、精神的な不調につながることも少なくありません。 　山大病院では、患者さん一人ひとりとしっかり向き合い、その痛みの原因究明と治療のため、各専門領域の医療スタッフがガッチリと手を組み、診療を展開しています。