【実写化】「WGIP」とかいうアホ妄想を、リアル精神障害者が粉砕してみた。【参考文献あり】 скачать в хорошем качестве

【実写化】「WGIP」とかいうアホ妄想を、リアル精神障害者が粉砕してみた。【参考文献あり】

（いつものように長文ですが、どうか最後まで読んでください。現実を瓦解させないための一つの「鍵」です） バリアフリー創作映像、第6弾です。 ★☆タイトル☆★ 『遠神祖（とほつかむおや）の時、今し世の吾（われ）～来歴にツカレて』 使用音盤 『海行かば』 言立（字幕「作詞」は間違い）：大伴家持 作曲：信時潔 編曲：奥山貞吉 唄：コロムビア男声合唱団 レコード番号：日本コロムビア29718 1938年4月新譜 ★☆コメントと解説☆★ 　今回はいつもよりかなりアジってしまった動画になっていますのをお許しください。一見極右活動家が作った動画かと勘違いされてしまいますが大丈夫です、投稿者は先の戦争は「大東亜戦争」ではなくアジア・太平洋戦争、と呼ぶ者です。 　なかなかどうして日本人というものは、むかしから「自分がない」「自分は自分だ、という考えがない」と言われています。 　嘗て栄光の時代を過ごして今は凋落した人が「いまの自分は自分でない、昔はよかった、昔に戻りたい、昔を返せ…。」というのはわからないでもない。バブル崩壊以降1990年代より失われた10年、20年、30年…と終わりなく言われ続けていますから。 　しかし、それが「今の現実社会は偽物だ、かつての崇高で誇り高き時代が本物だ、現実が本物に還れ…！」と言って現実を否定し、妄想的な観念の空間に閉ざされた「自分あるいは自分たちの理想の時代」に現実ばかりか歴史や政治を書き換える人がいたら、オカシイですよね。 　そういう潮流が実際にいまあり、目下「インターネット」を通じて広まっているので気を付けてほしいのですよ、という動画です。 　近ごろ巷に囁かれる、とんでもない「奇説」というよりかは「陰謀論」でしかない「WGIP」「GHQによる日本人弱体化洗脳プログラム」「GHQのせいで日本人は「誇り」を失ったのだ、戦後の日本は偽物だ、日本人よ今こそ覚醒せよ！」とかいう言説。 　投稿者は『徹底検証 日本の右傾化』（塚田穂高/編 筑摩書房 2017年。折しも目下統一教会の騒動により2022年9月重版がかかり、静かに売れているとか。皆さんもぜひどうぞ）という本で初めて知ったのですが、何でもその「WGIP」とかいう陰謀論によると敗戦後GHQが、各種のプロパガンダによって日本人を「白痴化」させるべく「洗脳」させ、二度と米国に抗えないようすべく「弱体化」させたのだ、今でも日本の政治や教育やマス・メディアはそれに「洗脳」され続けているのだ、ネットによって「真実」を知れば「覚醒」し、眠りから覚められるのだ…云々。 　それで、それを論じる安っぽい本やムックやネットコンテンツが、今花盛りになっています。 ……リアルに精神障害者の私の率直な意見を言いましょうか。 　現代人の一部がそんな「ナラティヴ」に引っかかるのは、もはやこれほどまでデジタルデバイスが偏在した今の情報化社会化における人々が「機械に頼らず自分で考える」という「主体概念」が希薄になっているからではありますまいか。 　つまり「自己の主体」というものが自分ひとりでは何も考えることができずに「何かに操られている」と思い込む、それを「自分の過去、自分の生まれる前のある一点に病根がある」と妄想してしまうこと、そして「過去に枝分かれしたもう一つのパラレルワールドを本来あるべき時間の流れだ」と逃走願望をむき出しにしてしまうこと。 　ちょっとやそっとならそれはばかげた話ですが、これは実は統合失調症的な「病理」なんです。精神病理学の大家である木村敏（きむら・びん）の主著『時間と自己』（1982年 中央公論新社）によれば、「ビンズヴァンガーは、分裂病に特有の存在様式の一つとして、現実からかけ離れた実現不可能な理想の追求ということを挙げている。（中略）遠い未知なるものとしての未来のみが現在の直後に来るものとして希求される」とあります。 　つまり、「時間」と「自己」を超克した「もう一つの時間」への逃走の夢見を統合失調症の患者は見るということです。 　さらに付け加えて言えば木村は初期の『自覚の精神病理：自分ということ』（紀伊国屋書店 1969年）において、「来歴否認妄想」という日本でしか症例があまりみつからない妄想について詳しく書いています。この来歴否認妄想とは過去の自分を形成してきた歴史、あるいは自分の生まれる前の歴史、すなわち「来歴」というものを拒絶し、「今の自分の両親は本当の自分の親ではないのだ、別の親がいるのだ」とか「自分の生まれる前に先祖がすり替わった」と逃げてしまう妄想です。因みにこれが日本特有である所以は、「日本社会に根付いた独特の家族観」にあるとのことでして、この妄想は個人で発生する場合もありますが、集団的に発生する場合もあるのです 　集団で発生する例を具体的に挙げれば、1980年代にオカルト雑誌『ムー』（学習研究社）に読者から投書された、「ルシヤ」「アリーシエ」「フェリア」だのファンタジー漫画に登場するような名前を列挙して「私は超古代にあって滅びた○○大陸の××国の戦士の生まれ変わりです、この名前に何か感じる方はお便りください」などが当てはまります。 　もっと言えば、戦前に義務教育で「皇国史観」を徹底的に教わり、戦後に精神を患った人には「自分は天皇の落胤だ、生まれ変わりだ」という妄想を抱く人が多々いました。それが21世紀以降いなくなっているので精神科医は首を傾げていますが、私の解釈するに近代日本の最大のイデオロギー「国体思想」というものが、来歴否認妄想のメカニズムと同一構造の妄想体系をしているからです（この説を書いた専門家の論文を、寡聞にして投稿者は存じ上げません。もしご存じの方がいらっしゃいましたらコメント欄にて）。 　詳しくは、1930年代の「国体明徴運動」の流れを汲んで文部省が知識層を集めて執筆させた「国体思想」「戦前の日本のメインストリームであるイデオロギー」の集大成にして、『教育勅語』なんぞよりも比べ物にならないほどの情報量を誇る『国体の本義』（1937年 文部省）を国立国会図書館デジタルコレクションで 読めば、一目瞭然です。「国体思想」が来歴否認妄想である旨が、よくわかりますよ↓。 https://dl.ndl.go.jp/pid/1156186/1/6 　一見難しい本で、近頃これを解りやすく解説する本（佐藤優も書いていましたね）や電子書籍や「ネットコンテンツ」がありますが、それは何のことはない、ただ「あまりに狂信的な概念・妄想を箔付け・権威付けのために難しい言葉でかぶせた、つまり張子の虎」に過ぎません。 　この「来歴否認妄想」が上記のその「国体思想」ばかりか、そして1990年代後半以降勃興した日本型の歴史修正主義、さらに現代の「陰謀論」のメカニズムと酷似しているため、投稿者は戦慄を禁じえません。 　それに抗うため、その「妄想」のメカニズムをいつもの通り蓄音機の動画で表現してみました。「戦後日本」を否定して「「GHQ」によって書き換えられていないもう一つの本来あるべき「NIP★PON」」への遁走を夢見るシステムの誘惑はインターネットで容易く現実逃避ができる現代社会においては美味い果実にほかなりませんが、それは毒を孕む実にほかならないのです。 　なお、近頃ネット上の晩年の木村敏の発言で「自分で診察していない患者のことはしていないのだから、とやかく言ってはいけない」というのがあります。確かに「歴史」に関する「陰謀論」を精神病と同じだとしてアナライズするのは暴力的ではありますが、実を申しますと投稿者が統合失調症を発病したごく初期の段階で「来歴否認妄想」を発症した経験があります。ですから、「かつて同じ症状に見舞われていまは解放された当事者の見解と解釈」として思ってやってください。 　映像は炎上や抗議を回避するために比較的過激さは減らした演出です。どうか皆さん、くれぐれも「誘惑」には注意してくださいね！ 2022年3月16日投稿 2022年6月15日追記、タイトルとサムネイルを変更 2022年9月7日、再改訂の上タイトルとサムネイルをもう一度変更 2022年12月18日タイトル、本文、サムネイルを変更 桔梗刈萱 Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕΙ ΥΜΑΣ