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「チャーリー・カーク暗殺をめぐる“情報戦”──ネタニヤフ、ビリオネア、そして検閲の連鎖」 ⸻ 1. 序章:グレイゾーン編集長マックス・ブルメンソールの視点 本動画は、独立系メディア《The Grayzone》の編集長マックス・ブルメンソールが、司会者ジャクソン・ヒンクルの番組「Legitimate Targets」に出演し、チャーリー・カーク暗殺事件をめぐる報道操作、イスラエル・ロビーの動き、そしてSNS検閲の裏側を語った内容である 。 ブルメンソールは、カークの死後に広がった「彼は生涯親イスラエルだった」という情報を「意図的な歪曲」だと指摘する。 むしろ、彼の報道によればカークは生前、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフとの関係に距離を置き、「イスラエルのプロパガンダを代行すること」に強い不快感を示していたという。 ⸻ 2. “150億円の買収計画”と「イスラエル真実ネットワーク」の虚構 ネット上では一時期、「イスラエル政府がカークに1億5000万ドルを提供しようとしていた」という噂が拡散した。 しかしブルメンソールはこれを明確に否定する。 その情報の出所はニック・フエンテスの「信頼できる筋」という曖昧な発言に過ぎず、《The Grayzone》の報道とは無関係だった。 彼の説明によれば、実際の話はこうだ。 ネタニヤフは親イスラエル派の富豪らに働きかけ、カークを資金的に「囲い込み」、イスラエル批判を封じる“インフルエンサー・コンソーシアム”を構築しようとしていた。 背景には、TPUSA(Turning Point USA)の会合で若い保守派がイスラエル政策を公然と批判したことへの危機感があったという。 ⸻ 3. カークとネタニヤフの決裂 ブルメンソールは「チャーリー・カークはネタニヤフを“傲慢で狡猾な人物”と見ていた」と述べる。 カークはネタニヤフからの「イスラエル訪問の招待」を断り、イスラエルの対イラン戦争を支持することにも反対していた。 彼はホワイトハウス内部でも「イラン攻撃は誤りだ」とロビー活動を行っていたとされる。 この時期、カークは主要な資金提供者であるロバート・シルマン(熱狂的シオニスト、反イスラム活動家)からの支援を打ち切られた。 同時に、保守派インフルエンサーのローラ・ルーマーがカークを公然と攻撃し始め、イスラエル擁護派メディア(マーク・レヴィン、ベン・シャピーロなど)も一斉にカーク批判を展開した。 これが彼の孤立を決定づけた 。 ⸻ 4. 「カークからの手紙」と“遺言のすり替え” カーク暗殺後、ネタニヤフが「カークからの手紙」を公開した。 それは「イスラエルの友として共に戦う」とする内容だと喧伝されたが、ブルメンソールの分析では、むしろカークの“決別状”に近い。 手紙の実際の主旨は、 「我々(TPUSA)はイスラエルのための下請けではない。イスラエル自身が自国のプロパガンダを担うべきだ」 という苦言であり、対イラン戦争への反対、米国保守運動の“アメリカ・ファースト”精神との整合性を訴えるものだった。 つまりネタニヤフ陣営は、彼の死後この文書を「忠誠の証」として再構成し、遺志を上書きしようとしたのだ。 ⸻ 5. 暗殺捜査をめぐる不可解な点 事件後、FBIは「外国情報機関の協力を得て捜査を行った」と発表したが、その機関名は明かされていない。 ブルメンソールは「もしイスラエル情報機関が関与していたなら重大な問題だ」と語る一方、「現時点では証拠がない」と慎重な立場を取る。 彼が問題視するのは、 ・容疑者タイラー・ロビンソンの“自白メッセージ”が捏造の可能性 ・証拠開示(ディスカバリー)の非公開決定 ・メディアが不自然に同一フォーマットで“再現されたスマホ画面”を報じた点 など、事件全体の透明性の欠如である。 ⸻ 6. メディア支配と「TikTok乗っ取り疑惑」 後半では、ブルメンソールが《TikTok=CBS統合報道》問題に踏み込み、 「イスラエル寄りの企業ネットワークが米メディアを再構築している」と語る。 彼が指摘する構図は以下の通り: •TikTokのCEOサフラ・カッツはイスラエル軍諜報部隊出身とされ、かつて元首相エフード・バラクとメールでイスラエル支援を協議していた。 •TikTokのインフラを提供するのはラリー・エリソン率いるオラクル。エリソンはネタニヤフの親友であり、《イスラエル国防軍の友の会》への多額寄付者。 •エリソンの息子デイヴィッドはパラマウント・ピクチャーズを掌握し、「10月7日」を題材にしたイスラエル寄りのプロパガンダ映画を制作中。 •さらにCBSニュースには記者バリ・ワイスが起用され、CNN買収計画も進行中。 これらの動きをブルメンソールは「イスラエルが米国保守派とメディア双方に仕掛ける心理戦・情報戦」と位置づける。 TikTokやX(旧Twitter)での親パレスチナ言論抑圧も、その延長線上にあると警告した。7. イラン情勢と「第二の戦争」 ブルメンソールは直近の取材でイラン大統領ペゼシュキアンと面会しており、その証言を紹介する。 ペゼシュキアンは「イスラエルは交渉を偽装して奇襲攻撃を仕掛けた」「次の攻撃は不可避」と語り、イランはあらゆるシナリオを想定しているという。 イスラエルの諜報網(モサド)の国内潜入は既に排除されたが、戦争の火種は消えていない。 ブルメンソールの見立てでは、 イスラエルは「米国の対中・対露シフトを阻止するため、イラン戦争で米国を再び中東に縛りつけようとしている」。 その狙いは、米海軍の展開をペルシャ湾に誘導し、最終的に「米地上部隊がイラクの親イラン勢力と交戦する状況」をつくり出すことだという。 ⸻ 8. 終章:検閲と抵抗のあいだで ブルメンソールは最後に、 「検閲は激化しているが沈黙はしない」と語る。 TikTokやYouTubeでの削除・凍結は日常化し、《The Grayzone》も複数の警告を受けている。 それでも彼は「真実を求める世代は既に主流メディアを見限った」と述べ、 「信頼そのものを破壊しようとする支配構造に、独立メディアがどこまで抗えるかが問われている」と締めくくった。 ⸻ 🔍 補助線解説(背景を理解するために) •チャーリー・カーク(TPUSA創設者) 米保守運動の象徴的存在。トランプ再選後、若年層右派の動員力を背景に政界進出が期待されていた。 しかし2024年以降、イスラエル・ロビー批判を強めたことから関係者と軋轢を生じ、2025年に暗殺された。 •マックス・ブルメンソール 米リベラル左派の調査報道家。《The Grayzone》を主宰し、ウクライナ戦争・シリア内戦・ガザ侵攻などで米国・イスラエルのプロパガンダを批判。 今回の発言も彼の独自取材に基づく分析であり、陰謀論的な要素を排除した慎重なトーンが特徴。 •ビル・アックマン、ラリー・エリソンらの役割 米金融・テック界の大富豪。いずれもネタニヤフと近く、メディア買収・SNS検閲・親イスラエル広報戦略の資金源とされる。 ⸻ 結論 この対談は、単なる陰謀論ではなく、 「米保守派の分裂」と「イスラエルの影響力低下」という現実的な権力再編を描いている。 カーク暗殺の真相はいまだ不明だが、 彼の死を契機に浮かび上がるのは、 情報の所有者が誰か――という、民主主義の根幹を揺るがす問いである。