激増するクマ被害で進化するクマ対策　1トンの鉄製ごみ箱に、電気柵の無料診断　ハイテクドローンやオオカミ型ロボットも登場　クマとの境界線を守る方法 скачать в хорошем качестве

激増するクマ被害で進化するクマ対策　1トンの鉄製ごみ箱に、電気柵の無料診断　ハイテクドローンやオオカミ型ロボットも登場　クマとの境界線を守る方法

先日、京都の清水寺で発表された「今年の漢字」。1年の世相を表す漢字ひと文字に「熊」が選ばれました。クマによる被害が相次いだ今年、対策も進化しています。 ■《クマ対策が急務　背景には…》 人の生活圏に相次いで出没したクマ。 札幌市では、市町村の判断で市街地での発砲を可能とする「緊急銃猟」が、北海道内で初めて実施されました。 人身被害も相次ぎ、2025年度、クマによる死者数は全国で13人に上っています。 そんな中、被害を減らすため、クマを人里に近づけないための取り組みも進んでいます。 ■《開発進む…新たなクマ対策》 シティ環境　澤口和人さん 「できるだけ平面、爪が引っ掛からないような作りにはしている」 未来のアグリ ヒグマ対策支援室　石澤 裕 室長 「既存の金網をクマ対策用として、バージョンアップする」 人間とクマの境界線をどう守っていくのか。進化するクマ対策を「もうひとホリ」します。 ■《クマ対策(1)クマが開けられない…鉄製ごみ箱「とれんベア」》 2025年7月、北海道南部の福島町で、新聞配達員の男性が住宅街でクマに襲われ死亡。 町内では、ごみ集積所での目撃が相次いでいました。 ごみの回収や産業廃棄物の処理を行う、網走市の会社です。 シティ環境　澤口和人さん 「クマが開けようと思っても開けられない作り」 12年前に、知床財団の依頼で、クマも荒らすことができない頑丈な鉄のごみ箱「とれんベア」を開発しました。 現在、道内外に18機が設置されています。 シティ環境　澤口和人さん 「（ごみを）一度食べたことがあると、ごみ収集に来た人がごみを回収したときに、自分の餌をとられたと思って、クマに襲われる可能性もでる」 コンクリートでしっかりと支えられた厚い鉄製の箱は、総重量約1トン! 体当たりされても簡単には倒れず、爪も立てづらい構造になっていて、サビに強い加工や、万が一、人が中に入っても出られるようにするなど改良を続けています。 シティ環境　澤口和人さん 「苫前町で400キロのクマが箱わなを荒らしてる姿を見たときに、これだけの強度であったり、対策をしたことは間違いではなかった」 ■《クマ対策(2)クマに特化した「電気柵」…無料診断も》 一方、クマを人里に近づけないために有効なのが「電気柵」です。 鳥獣被害対策の製品を扱う札幌の会社では、「クマ対策支援チーム」を立ち上げ、クマ対策に特化した電気柵の提案を始めました。 未来のアグリ　ヒグマ対策支援室　石澤 裕 室長 「今までこれで農作物守れる電気柵よりも、もう少しレベルを上げた対策をしようという提案をしている。しっかりやってもらえれば、もっともっと被害が減る」 電気柵の張り方やワイヤーの太さ、一番大切な、電気が適切に流れるための漏電対策など、クマを想定した提案はもちろん、適切に設置できているかなど、リモートによる無料診断も行っています。 未来のアグリ　ヒグマ対策支援室　石澤 裕 室長 「人の存在を恐れないクマが確実に増えているだろうなと、それが一気に広まった感じがする。電気柵が非常に効くのは間違いないので、これを利用した防除は中心になっていくかなと思う」 ■《クマ対策(3)オオカミ型ロボット「モンスターウルフ」》 堀啓知キャスター:クマを人里に近づけないための対策が重要です。 コメンテーター　當瀬規嗣さん:電気柵やごみ箱はすごく大事で、絶対やるべきです。ただ、そもそも、ごみ箱や電気柵のところまでクマが来てしまっているということが一番の問題。草を刈って藪を作らないなど、ゾーニングをやって、やすやすとクマが人里におりてこないように全面的な対策が必要。 堀キャスター:また、クマ対策の支援チームが企業のなかにあるんですね。ほかにも、クマ対策は進化しています。 ●新型「モンスターウルフ」 番組でもたびたび紹介しているオオカミ型の撃退装置「モンスターウルフ」。 ▼北海道奈井江町の会社が開発 ▼クマが近づくとセンサーが感知、動物の鳴き声など最大90デシベルの音でクマを撃退 ▼新たに、ピンポイントで音を飛ばす指向性スピーカーを搭載。音が広範囲に広がらず住宅街での使用も可能に。 ●携帯型「モンスターウルフミニ」 携帯型の「モンスターウルフミニ」も新たに開発。 ▼リモコン操作で音を出し、クマ鈴の代わりにも使用可能 ▼今後、一般向けに販売予定 ■《クマ対策(4)クマスプレー搭載ドローン》 堀内キャスター:さらに、こんな対策用製品も登場しました。 ●「クマよけスプレー搭載ドローン」 東京の会社が開発した「クマよけスプレー搭載ドローン」 ▼上空から遠隔操作でスプレーを噴射してクマを撃退 ▼背後や側面に回り込めるため、風向きの影響を受けにくい ▼赤外線カメラを搭載して夜間でも稼働できるように改良中 堀内キャスター:全国の自治体向けに展開する予定で、すでに東北地方の自治体から問合せが来ているそうです。 コメンテーター　アンヌ遥香さん:クマよけスプレーは、今年とても需要が高まったわけですが、一部通販などで偽物や粗悪品も問題になりました。来年も、クマよけスプレーの需要があるでしょうから、買いたいときは、命を守る行為につながるわけですから、信頼のおける店などを見定めたうえで購入するよう気を付けたいです。 堀キャスター:野生動物も知恵があり、人間の想像を上回る行動をとる可能性もあるので、クマの生態や行動を理解して、さらにそれを上回る対策が必要です。