“物言う株主”ダルトンの狙いは…株主総会どう進む？フジHD独自の取締役候補発表【報道ステーション】(2025年4月16日) скачать в хорошем качестве

“物言う株主”ダルトンの狙いは…株主総会どう進む？フジHD独自の取締役候補発表【報道ステーション】(2025年4月16日)

アメリカの投資ファンド『ダルトン・インベストメンツ』は16日、フジテレビの親会社である『フジ・メディア・ホールディングス』に対し、6月の株主総会に向けた株主提案を提出しました。 フジ・メディア・ホールディングスの大株主である『ダルトン・インベストメンツ』。1999年にアメリカで設立された老舗のファンドで、アクティビスト＝物言う株主として知られています。 株を保有する企業に改革を突き付けて、企業価値を上げ、株価が上昇した段階で売却することで、利益を得るのが彼らの手法。株主提案には、厳しい言葉が並びました。 ダルトンの株主提案 「40年に亘る日枝氏の長期政権が続き、フジテレビは衰退していきました。日枝氏の顔色を窺う社内の経営陣と、日枝氏の知己である社外の経営陣によるずさんな経営によって、上場会社の経営者としては、極めて恥ずかしい状態を継続してきました。経営陣の実力が問われた今回の騒動においても、その乏しい経営能力が露呈し、結果、売上高90％減という未曽有の危機を招きました。3月27日に発表された新経営体制では、相変わらず、親会社であるフジ・メディア・ホールディングスと、子会社であるフジテレビに同じ取締役が名を連ね、かつ、日枝体制の残滓である金光氏、清水氏らが経営の中枢に残るという、何も変わらないというメッセージを公表してしまいました。私たちは、日枝体制の残滓を一掃し、フジテレビの大変革を力強く推進する経営者たちを送りたいと思います」 ダルトンが挙げた新たな取締役は12人で、その一人は、SBIホールディングスの北尾吉孝社長。フジテレビとは、浅からぬ関係がある人物です。 2005年、堀江貴文氏率いるライブドアが仕掛けたニッポン放送の買収。このとき、フジテレビは、ニッポン放送の子会社だったため、堀江氏は買収によって、フジテレビもセットで手に入れようとしていました。それを阻止したのが、北尾氏の率いるソフトバンク・インベストメント、いまのSBIホールディングスでした。救世主“ホワイトナイト”として、ソフトバンク・インベストメントは、一時的にフジテレビの筆頭株主になります。 北尾吉孝氏（2005年） 「私どもは、フジの筆頭株主になったからといって、役員を送るという考え方は毛頭ございませんし、私が役員になることを要求するということは全くないです」 北尾氏は、いま、この判断が、一連の問題につながったとみています。 北尾吉孝氏のSNSから 「いまになって考え返してみたら、あのとき、ホワイトナイトをやるべきではなかった。その最大の理由は、フジサンケイグループは、この20年、ほとんど進化しないで、現87歳の日枝久氏が40年もの間、グループの実質的な代表として、権力をほしいままにしてきたことだ。日枝氏や彼の取り巻きは、放送メディアという極めて公共性の高い公開企業を長期にわたり経営し、企業価値の実体は不動産という状況を創出させてきたうえ、著しいコンプライアンス意識の欠如した企業風土を醸成してきた」 では、ダルトンはどのように改革を進めたいのか。カギを握るとみられるのが、収益の大きな柱となっている“不動産事業”の分離です。送り込もうとしている12人の取締役の中には、不動産や組織再編のエキスパートが、複数、含まれています。 その1人として挙げられているのが、ジャパンディスプレイの社長を務めた菊岡稔氏。事業改善やガバナンス改革を進めた実績から、フジにおいても改革をけん引できるとダルトンは説明しています。 ジャパンディスプレイ　菊岡稔元社長 「結局、今回の件は、不動産の多大な含み益がなければ、今回のことが発覚したら、メディア事業しかやっていなければ、かなり経営危機に陥る段階。不動産事業があることによって、経営が揺るがない。一見、いいように見えるが、逆に言うと、不動産を持っているイことで、ガバナンス上の問題が起きている。メディア事業は、メディア事業として、きちんと経営し、不動産は、不動産としてきちんと経営したほうが、おそらくメディア事業も改善する。過去からのしがらみがない方々が、新しくフジテレビなりフジ・メディア・ホールディングスを再生させていく方が、ステークホルダー、従業員含めてわかりやすいと思う」 フジ・メディア・ホールディングスは、株主からの提案は取締役会で検討し、真摯に対応するとコメントしています。 ◆“物言う株主”として知られる投資ファンドの提案が、今後のフジテレビ再生にどう影響するのでしょうか。企業経営に詳しい永沢徹弁護士に聞きます。 （Q. “物言う株主”ダルトン・インベストメンツは、どのような存在なのでしょうか） 永沢徹弁護士 「“物言う株主”というのは、“物言わない株主”と対比していわれるわけです。安定株主とか、持ち合い株みたいなことを言われて、そういう意味では、ガバナンスを改善することによって、企業価値を上げていこうということで、投資をする。そのなかでは、ダルトンは、比較的まともな提案をしてくるアクティビスト、株主といわれているかと思います」 （Q．“物言う株主”が経営に大きく影響してくる。このところの企業経営では、当然の話ということでしょうか） 永沢徹弁護士 「そうですね。株主によるガバナンスの回復というような面もあるかと思いますし、例えば、不動産であるとか、政策保有株や持ち合い株を売却することによって、株主に還元する。配当を増やしたり、自社株買いをするといったことを提案することによって、株主価値を上げようという投資家です」 （Q.ダルトンの人事案が通る可能性はあるのでしょうか） 永沢徹弁護士 「実は、二者択一では、必ずしもないです。定員は、12名にせよ、11名にせよ、それぞれ提案している数がありますが、それよりももう少し多いです。ということは、株主が過半数を出してくれば、定員までは選任される可能性がある。そういう点では、フジ・メディア・ホールディングスが提案している役員候補も、全員、選任されて、尚且つ、そのほかの提案、ダルトンの株主提案も一定程度、通る。あるいは、その中間になるということも考えられますし、もっと言えば、両方が話し合って、一本化することも考えられるかと思います」 （Q.ダルトンは、フジ・メディア・ホールディングスの取締役に金光氏、清水氏が残ることを批判していますが、人事案の一本化は可能でしょうか） 永沢徹弁護士 「簡単ではないのは、おっしゃる通りかと思います。とりあえずは、高いボールを投げて、そのうえで交渉するということはあり得ると思いますし、あとは、機関投資家や個人株主がどう行動するかということなのかと思います」 取締役候補になっている菊岡氏は、「不動産事業があることでメディア事業に真剣に取り組まず、ガバナンスの問題が起きた」という趣旨の話をしていました。 （Q.不動産事業の切り離しの提案をどうみますか） 永沢徹弁護士 「十分にあり得る話だと思います。不動産事業としてもかなり大きな規模です。もともと、サンケイビルという上場している会社をTOBしたというところからの話ですので、そういう点では、一つの柱になっています。一般の不動産の売却とは、ちょっと話が違うということになろうかと思います。ただ、不動産に投資したい投資家と、メディアに投資したい投資家、それぞれいると思いますので、合わせることによって、株価が割安になっている。“コングロマリット・ディスカウント”と呼ばれるのですが、どういう事業かわからないから、投資することを分けてしまう。切り離すということは、会社分割みたいな形で、それぞれ、別の会社として上場するということはあり得る話だと思います」 フジ・メディア・ホールディングスの株の保有状況を見ますと、去年9月時点で、大株主は、日本マスタートラスト信託銀行。さまざまな投資家の株式の管理業務を代行している窓口です。大株主としては、東宝、文化放送、NTTドコモなどが名を連ねます。一方、“物言う株主”も保有割合を高めていて、ダルトンは1月時点で7．1％。ほかにも旧村上ファンド系の投資会社『レノ』などは、今月10日時点で11．8％の株を取得しています。 （Q．これから株主の多数派工作というか、多数を形成していく動きが展開していくが、決着がつかなかった場合、どういうことになるのでしょうか） 永沢徹弁護士 「代表的には、株主総会で多く票を獲得した方がということになります。基礎票をそれぞれ持っています。あとは、浮動票をどう獲得できるかというところ。浮動票というのは、まず機関投資家があります。投資会社もありますし、年金などが持っている株、個人が持っている株、それらがどう動くか。プロキシーファイト＝委任状争奪戦といわれることがありますが、アピールしていく。そういう意味では、今回、北尾さんの名前を出したのは、非常に大きいのかなと思います。 （Q．どういうことでしょうか） 永沢徹弁護士 「実績のある経営者ですし、もともと関わっている、ライブドアの騒動のときのホワイトナイトとして。今回、レオス・キャピタルワークスという投資会社に対しては、この親会社がSBI、北尾さんの会社。そういう意味では、ダルトンと北尾さんの基礎票、それにレノが加わりますと、いままでの安定株主の基礎票と近いくらいの基礎票を集めているということで、あとは、浮動票をどちらが、どのくらいとるかという争いになる。その前に話し合いをされる可能性が十分にあるのではと思います」 [テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp