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【ｺｰﾄﾞで解説】スクリャービン「焔に向かって」Op.72

Scriabin Vers la Flamme, Op.72 スクリャービン 詩曲「焔に向かって」Op.72 試しに、20世紀ロシアの作曲家、スクリャービンの作品を取り上げてみました。 「神秘和音」で知られ、光（色光ピアノ）と交響曲、ピアノ独奏、合唱、オルガンとを一つにした『プロメテウス』Op.60などでも知られていますが、本質的にはショパンのように、やはりピアノソロ作品において彼は本領を発揮しました。 「焔に向かって」、はスクリャービン晩年・1914年に書かれた傑作です。最初はピアノ・ソナタとして構想されましたが、小品である「詩曲（音の詩）」に格下げされました。ソナタまで完成させるまでの余裕が無かったのではないか、とも言われてます。 ここでは、一応ソナタ形式をベースとして見ております。 ・上に向かう2音動機を持つ、第1テーマ ・下に下がる2音動機により、金管楽器のような輝きを放って展開される、第2テーマ ２つのテーマを元に、ストーリーが作られています。非常に和声展開が凝っています！！ 無調、と片付けられることが多いのですが、長調・メジャーコード、短調・マイナーコード、は明らかに区別されて出てきています。 その中で、 独自の表現が光るのが「光の和声」です。 神秘和音の一種とも呼べると思います。 ↑スクリャービン自身が、親友サバネーエフとの対話の中で「光の理念を具現化する燦然と輝く和声」（スクリャービン: 晩年に明かされた創作秘話、p.194。amazonでも手に入ります）をどう見つけたか、説明しています。 7音からなりますが、複雑な不協和音的な響きではなく、むしろとても自然に良く鳴ります。どこか謎めいた響きのする「神秘和音（6音からなる）」、にもう1音足したことで、より輝き、確信・存在感が増した感じがします。 実は、有名な「詩曲32-1」などを含めて、中期の作品にも光の和声、は出てきているんですよ。そこを取り出す形で、１つの和声に1つのペダル、という意識で右ペダルを踏んでみてください。新感覚です笑 #神秘和音