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Random／破天ノ鬨

夜風がちょいといたずらしてきやがる 袖つまんでついてくるなんざ、お節介だねぇ うっとうしいと手で払ってやりゃ こちとら気ままに歩くだけよ 大通りをわざとゆっくり歩いて 行き交う顔をひと通り眺めりゃ 面白ぇやつがひとりはいるもんで ちょいと遊んで暇つぶしってすんぽうよ ほらほら、この街まとめて揺らすぞ いちいち許しなんざ要らねぇっての 肩で風きって笑って歩きゃ 道端の石ころまで踊り出す 路地裏で三味線鳴らす兄ちゃんが やけに調子こいててさ 近づいたら急に逃げるから つい笑っちまったじゃねぇか 転がった酒瓶の中を覗きゃ 猫が澄ました顔でにらんでくる ちっ、と舌打ちして頭撫でりゃ 文句だけ言って動きゃしねぇ おっと、どきなどきな、邪魔なら飛び越すぜ 気の向くまんま足が進んじまう 風に笑われたって気にしねぇ 笑われてるくらいが丁度いいのさ 頭の上で雷が派手に騒いで 空まで調子づいてきた そんじゃ一緒に暴れてやるかね 今夜は遊び放題ってわけだ 障子の隙間から覗いてる影が 挙動不審で丸わかりだぜ 見つけちまったら最後よ ちょいとからかって遊ばにゃ損だ 屋根の上から笛の音が落ちてきて なんだい、挑発してんのかい 呼ばれたなら向かうしかねぇだろ ついでにひと騒ぎ増やしてやらぁ 気まぐれで生きてんだ、この夜はよ 月まで気まずそうに逃げてくぜ 眉ひとつ上げりゃ街がざわつき 気づきゃ時間だけ進んでる 淡い灯りがゆらゆら揺れてて 屋根の上じゃたぬきがのびしてる 行き先なんざ決めちゃいねぇ 飽きたらそのへんで寝ればいい 下駄の片っぽが転がってて 誰のかなんて知ったこっちゃねぇ 指で弾いたらすっ飛んでいって どっかで誰かが驚くだろ さぁさぁ、今夜もひと騒ぎ始めるぜ 文句ある奴は前へ出な ちょいと声張りゃ道がざわめき 好奇心のまま夜が続く 石畳がぐらついて 空までひっくり返りそうで 「やめとけ」なんて言われた日にゃ 余計に火がつくってもんだ 破れた雲をぐいっと押しのけて 片手で笑いながら歩き出す 止めにきても無駄だっての こちとら耳貸す気なんざねぇ 灯りの端で影が跳ねて 新しい悪さの種がひょいっと落ちる 拾った誰かが次の騒ぎ こうして夜は終わりゃしねぇ