＃9　ADHDと薬物療法 скачать в хорошем качестве

＃9　ADHDと薬物療法

本動画では、ADHD（注意欠如・多動症）と睡眠障害の関係について解説していきます。ADHDは、多動性や衝動性、注意力の問題を特徴とする神経発達障害の一つで、子どもたちの日常生活において大きな影響を与える疾患です。特に、ADHDを持つ子どもたちの約25〜50％は睡眠障害を併発しているとされており、この併存は子どもたちの症状を悪化させる要因の一つです。 1. ADHDとは ADHDは、不注意、多動性、衝動性を主な特徴とする発達障害です。これらの症状が日常生活に大きな支障をきたし、学業や人間関係において困難を引き起こします。具体的な例としては、授業中に集中力を保てずに忘れ物が多くなる、じっとしていられず席を離れてしまうなどが挙げられます。 しかし、ADHDの診断においては、行動の問題だけに注目しすぎることなく、他の要因も考慮する必要があります。例えば、睡眠不足がADHDに似た行動を引き起こすことがあるため、睡眠障害との関連性を見逃さないことが重要です。 2. 睡眠障害とは 睡眠障害は、入眠困難、睡眠維持困難、早朝覚醒などの症状を含み、十分な睡眠が取れない状態を指します。これらの問題は、日常生活における疲労感や注意力の低下を引き起こし、子どもの場合は行動上の問題として現れることがあります。大人であれば、眠気やパフォーマンスの低下として表れることが多いですが、子どもはその影響をうまく認識できず、むしろイライラや多動、衝動的な行動として現れることが少なくありません。 3. ADHDと睡眠障害の関係性 ADHDと睡眠障害には密接な関係があります。ADHDを持つ子どもたちは、睡眠障害を併発するリスクが高く、その割合は25〜50％に達します。特に、ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群（SAS）、**むずむず脚症候群（RLS）**などの睡眠障害は、ADHDの症状をさらに悪化させる可能性があります。 • ナルコレプシーとは、日中に突然強い眠気に襲われる病気です。これにより、集中力や学習能力が低下し、ADHDのような行動が現れることがあります。 • **睡眠時無呼吸症候群（SAS）**とは、睡眠中に呼吸が止まる症状を伴う障害で、十分な睡眠が取れず、日中のパフォーマンスが低下します。 • **むずむず脚症候群（RLS）**は、寝ている間に脚に不快感を感じ、頻繁に動かしたくなる障害です。これにより、安眠が妨げられます。 これらの睡眠障害がADHDと併存する場合、子どもの行動にさらなる影響を及ぼし、診断や治療を複雑化させることがあります。 4. 睡眠障害の治療 睡眠障害の治療には、まず睡眠衛生指導が重要です。これは、適切な睡眠習慣を身につけるためのアプローチであり、規則正しい生活リズムやリラックスできる環境の整備が含まれます。具体的には、就寝前の電子機器の使用を控えることや、適度な運動を取り入れることが推奨されます。 さらに、ADHDに対する薬物療法が睡眠障害を引き起こす可能性もあるため、薬剤の選択には注意が必要です。例えば、抗ADHD薬の中には、覚醒作用が強く、睡眠リズムに悪影響を与えるものもあります。このため、睡眠薬の投与を検討する場合でも、十分な注意が必要です。 5. 併存に対する治療の注意点 ADHDと睡眠障害の併存を治療する際、睡眠薬の使用をすぐに開始するのは避けるべきです。まずは、前述の睡眠衛生指導を徹底し、適切な生活習慣を身につけることが優先されます。しかし、多動性や衝動性が強い場合、睡眠衛生指導だけでは対処が難しいこともあります。このような場合には、薬物療法の導入を検討することとなりますが、睡眠薬の使用がADHD症状にどのような影響を与えるかについても慎重に評価する必要があります。 また、ADHDの薬物療法が原因で睡眠の質が低下している場合もあるため、薬剤の調整が必要になることもあります。 6. まとめ ADHDは、行動上の問題として捉えられることが多いですが、睡眠障害などの他の要因が背景にある場合も少なくありません。睡眠不足が原因でADHDに似た行動が引き起こされることもあり、その診断は慎重に行う必要があります。また、抗ADHD薬の副作用として睡眠の問題が発生する場合もあるため、薬物療法と睡眠衛生指導を併用しながら、子ども一人ひとりに適した治療計画を立てることが重要です。 最後に、ADHDと睡眠障害の関係について理解を深めることで、より適切な治療とサポートが可能になります。本動画がその一助となれば幸いです。 ★本動画は非営利目的においてのみフリーで利用していただくことが可能ですが、営利目的などの場合には以下のフォームからお問い合わせください。 https://forms.office.com/r/D4ni2Q6yXy 音声：「VOICEVOX:春日部つむぎ」 参考文献 1.宇佐美政英　児童精神科医が伝えたい子どものメンタルヘルス(第24回)　ADHD治療薬の特徴とリスデキサンフェタミン、薬事(0016-5980)64巻1号 Page158-165(2022.01) 2.宇佐美　政英　児童精神科医が伝えたい子どものメンタルヘルス(第8回)　ADHD(後編)　治療のポイント、治療薬の特徴、薬事(0016-5980)62巻11号 Page2213-2219(2020.08)