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祇園ささ木 ご飯12ヶ月 7月 「鱧の源平」 京都の夏は祇園祭。 街中に「コンチキチン」と祇園囃子が流れ、情緒が高まってくる。 この季節に旨くなる魚が鱧。 祇園祭は別名「鱧祭り」とも呼ばれる。 鱧の料理は、焼霜、おとし、鱧しゃぶ、天ぷら、フライ、寿司などいろいろなバリエーションが楽しめる。 佐々木浩もまた鱧を愛する料理人。 「こんなにさまざまな調理ができる魚には魅力があります。最後のご飯で鱧を出すと受けますね」 活きた鱧をさばき、骨切りである。 ここで技術が問われる。リズミカルにかつ細心の注意を払い、骨をきれいに切ってゆく。それが食べたときのふんわりした食感を生み出すのだ。 骨切りされた鱧に串打ちを施す。 一方はタレをしっかり鱧の身にまとわせるようにかける。そして遠火の強火で焼く。香ばしい匂いと音によって佐々木は焼き加減を判断する。これは人間の感覚でしかできない技である。 もう一方はなにもつけずの鱧だけを焼いてゆく。焼き目を一切つけずに、身に火入れをしなければならない。これもまた人間の緻密な感覚がモノをいう仕事となる。 白焼きされた鱧は、梅干しご飯の上にたっぷりとのる。そこに再び梅干しを加え大葉をふる。一気にかき混ぜる。 白と赤と緑のコントラストも美しく、梅から発する酸味が鱧の甘味をぐっと引き上げてくれる。最後のワサビが味の輪郭をしっかりさせるのだ。 さっぱりしているのに、印象はかなりのインパクトがある。 タレ焼きには、小さな賽の目に切られた生姜をかけ、その上からたれをまぶしかき混ぜる。 褐色が食欲をたまらなく刺激し、また口に含むと生姜がプチッとあたり、その辛みがまた鱧の味わいに深みを持たせるのであった。 タレの味わいと鱧はじつに優雅な出会いで、鱧をどっしり食べたという満足感が身体全体に広がってゆくが、それは決して重いという感じはないのが、佐々木浩のバランス感覚が生み出した技といえる。 京都の夏はいろいろな料理屋で鱧が供される。その中で「祇園ささ木」ならではの鱧、と考えぬかれたご飯である。 夏が近づくにつれ、この「鱧の源平」を食べたくなる人達は多い。