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【つらい】うつ病で言葉が出ない…どうしたらいい？【精神科医が解説】

うつ病が「言葉が出ない」時どうしたらいいか、精神科医が解説します。 #精神科 #うつ病 #言葉が出ない 0:05 （１）はじめに 0:21 （２）うつ病の症状と「脳機能の不調」 2:04 （３）うつ病で目立つ「言葉が出ない」とその影響 4:27 （４）うつ病で言葉が出ない時どうしたらいい？ 4:55 ①焦らず休む 6:19 ②うつ病治療 8:05 ③徐々に慣らす 9:29 （５）まとめ うつ病で「言葉が出ない」時はどうしたらいいでしょうか。うつ病では脳機能の不調背景に言葉が出ないことがしばしば目立ちます。回復まで時間がかかるため焦らず徐々に慣らすことが大事です。 ご質問「うつ病で言葉が出ない時どうしたらいい？」について、精神科医10.5分で回答しています。 出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長） こころ診療所吉祥寺駅前　https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所　https://fuchu-kokoro.com 府中カウンセリングルーム（提携カウンセリングルーム）https://fuchu-counseling.com チャンネル登録お願いします　   / こころ診療所チャンネル   詳しい内容はこちらです↓ （１）はじめに 改善までは時間がかかりますが、焦らず徐々に慣らしていくことが大切です。今回は「うつ病で言葉が出ない時どうしたらいい？」というご質問にお答えします。 結論から申し上げると、脳機能の不調の要素が大きく、焦らず徐々に慣らしていくことが重要です。 （２）うつ病の症状と「脳機能の不調」 うつ病は心の風邪ではない うつ病は医学的な疾患です。気分の落ち込みや興味の喪失が2週間以上続くのが特徴で、脳の機能障害が背景にあります。ストレスや遺伝・環境要因が複合的に作用しますが、主には脳内物質セロトニンの不足が関係しています。 精神的な苦痛だけでなく、体の不調や思考力の低下など、広範囲に影響を及ぼします。 うつ病の主な3つの症状 **こころの症状**では、気分の落ち込みが続いたり、理由のない不安や焦りが目立ちます。喜びを感じられなくなる「アンヘドニア」も特徴的です。 **からだの症状**では、不眠・過眠、食欲の変化、倦怠感など様々な身体的不調が現れます。 **行動の変化**では、イライラしやすくなったり、人を避けるようになるなど、外から見てもわかる変化が生じます。 脳機能の不調について うつ病では脳の働きが本調子でなくなり、思考や判断などの認知機能が不調になります。この症状は他の症状よりも回復が遅れるのが特徴で、思考力の低下は仕事だけでなく生活全般に幅広く影響を与えます。 具体的には、思考力や判断力の低下により物事を考えて判断することが困難になります。記憶力や注意力の低下で忘れやすく覚えにくくなり、会話にも大きな影響が出ます。集中力や段取り力の低下により、物事を組み立てて実行することが困難になります。 （３）うつ病で目立つ「言葉が出ない」とその影響 言葉が出ない症状の背景 うつ病では会話で言葉がなかなか出てこず、会話が止まってしまう状況に直面することがあります。これは主に脳の不調が背景にあり、うつ病による認知機能や思考力の低下が主な原因です。 適切な治療で改善しますが、他の症状よりも回復に時間を要することが多いのが現実です。 具体的な症状の現れ方 **会話において**は、返事に時間がかかったり、話が途切れてしまったり、話すときに的確な単語が見つからなくなります。 **仕事において**は、会議で発言ができなくなったり、電話の応対が怖くなったり、報告・連絡・相談が億劫になってしまいます。 **日常生活において**は、献立が浮かんでこなかったり、店員さんに質問ができなくなったりして、些細な会話も苦痛になることがあります。 言葉が出ない原因 **思考力や認知機能の低下**が主な原因です。思考の制止により考えるスピードや処理能力が落ち、頭の中で考えをまとめることが困難になります。言語流暢性の低下により、言葉を検索する機能が低下し、適切な言葉をスムーズに取り出すことができなくなります。 **不安やうつ・緘黙**も影響します。「話して変に思われたらどうしよう」という予期的な不安が頭をよぎり、話が止まってしまいます。反芻思考により考え事に頭がとらわれ、会話に集中できなくなります。特定の場面で強い不安や緊張から全く話せなくなる場面緘黙が起こることもあります。 症状による影響 **仕事の困難**では、報告や会議での発言ができず業務に支障をきたします。 **生活の困難**では、人との交流を避けるようになり、友人関係も疎遠になってしまいます。 **社会的な孤立**では、失敗体験により自信を失い、孤立がさらにうつ病を悪化させる悪循環に陥ります。 （４）うつ病で言葉が出ない時どうしたらいい？ まずは無理をしないことが大切です。治療して改善後、徐々に慣らしていきましょう。 ①焦らず休む *会話の負担を理解する* 会話はリアルタイムに聞いて答える必要があり、不調時の負担が非常に大きいものです。会話に必要な高度な知的作業が特に不調な時はできなかったり、できても負担が増してしまいます。 無理をして話すことが続くと回復が困難になるため、会話は必要なことだけに絞るのが現実的です。 *会話の負担を減らす工夫* 信頼できる人との会話に絞り、安心できる相手を選んで精神的負担を減らします。一対一で静かな環境を選び、刺激の少ない落ち着いた場所で話すことで負担を軽減できます。 事前に「少しだけ話す」と伝えておくことで、時間や話題を限定し負担を軽減できます。 *会話以外の伝達手段を活用* メールやLINEを使うことで、リアルタイムの返答プレッシャーを軽減できます。筆談やメモ機能を活用し、無理に声を出さなくても良い環境を作ります。 事前に「文字で伝えても良いか」と相手に伝えておくことで、プレッシャーを減らすことができます。 ②うつ病治療 *脳機能の不調もうつ病から* うつ病治療がうまくいくことで、時間差があっても話しやすくなる改善が期待できます。まずは話しすぎないことを含めた休養が、うつ病治療では非常に重要です。 脳機能は最後に改善する傾向にあるため、最終的には話せるようになりますが、時間差があることを想定しておきましょう。 *うつ病の主な治療法* 十分な休養により頭を休ませることが重要で、できれば休職をし、仕事をしながらでも休養時間を確保します。 薬物療法では主に抗うつ薬SSRIを使用し、継続することで再発予防効果を期待します。 精神療法では、主にストレスの対処法を見直し、時には考え方の癖にも介入します。 *症状改善の段階* 第1段階では不眠や不安、焦燥感がまず和らぎます。第2段階では気分の落ち込みや意欲、興味が戻ってきます。最後の第3段階で集中力や思考力の回復が現れます。 ③徐々に慣らす *系統的脱感作法の活用* 不安を避けるほど強くなってしまうため、症状が安定した後は「話しても大丈夫」という体験を積んでいくことが大切です。 現実的な目標として、不安が完全になくなることではなく、不安があっても話すことができる状態を目指します。 *具体的な慣らし方* 不安の階層表を作成し、楽なところから徐々に慣らしていきます。例えば、家族との短い会話を不安度10点、友人への電話を30点、少人数の会議での発言を60点、大勢の前でのプレゼンを90点のように段階的に設定します。 *実践のコツ* 調子の良い日を選んで取り組み、体調が悪い時は逆効果になるため避けます。深呼吸などでリラックスし、緊張を和らげながら慣らしていきます。 うまくいったことは自己肯定し、うまくいかなくてもチャレンジできたこと自体を肯定することが重要です。 （５）まとめ うつ病で言葉が出ない症状は、主に脳の機能低下、特に思考力などの低下が影響しており、そこに不安や反芻思考が重なって生じます。 治療がまず大切で、急性期は無理して話さず、休養と適切な治療で徐々に改善を目指していきます。 言葉の問題は脳機能に関わるため、改善が最後になることが多く、徐々に慣らしていく際も自分のペースで焦らず取り組むことが何より重要です。 回復には時間がかかりますが、適切な治療と段階的なアプローチにより、必ず改善していきます。焦らず、自分を責めず、一歩ずつ前進していきましょう。 こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station） 府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル６階、☎0422-26-5695) #どうしたらいい 　#精神科医　 【監修者】 医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎 精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医） 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。