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躁うつ病（双極性障害）【躁とうつを反復する脳の病気、精神科医が14分でまとめ】

0:05 はじめに(躁うつ病（双極性障害）） 0:58 ①躁うつ病（双極性障害）とは 2:03 ②躁うつ病（双極性障害）の症状 4:37 ③躁の強さと躁うつ病の分類 5:53 ④特殊な状態（混合状態、急速交代型） 6:36 ⑤躁うつ病（双極性障害）の鑑別疾患 7:20 ⑥躁うつ病（双極性障害）の治療 7:30 ⑥-1薬物療法 10:31 ⑥-2心理教育 13:14 まとめ 躁うつ病（双極性障害）は、うつ状態とその逆の「躁状態」が繰り返す脳の不調です。特に躁状態の時に、社会生活への影響が強くなり注意が必要です。治療は薬物療法（気分安定薬等の継続）を柱に心理教育を並行していきます。心理教育では、病気の症状・特性を知りながら日々対策を取ることが大事になります。この動画も、その勉強の一助になれば幸いです。 精神科医が約14分の動画にまとめています。 出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長） こころ診療所吉祥寺駅前　https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所　https://fuchu-kokoro.com チャンネル登録お願いします　   / こころ診療所チャンネル   ↓↓内容の詳細は下記になります。 ＜はじめに：躁うつ病（双極性障害）＞ 躁うつ病（または双極性障害）、これはうつとその逆の躁を繰り返す慢性的な脳の病気です。気分安定薬という薬の治療が大事ですが、もう一つ大事なのが「心理教育」病気や症状・対策について学んび、日々自ら病気を自己管理していきます。 今回の動画では「躁うつ病（双極性障害）」についてまとめています。 当事者の方は、自分の病気と対処していく心理教育のツールとして、ご家族や友人の方はご本人さんがどんな症状に苦しんでどう対処していくかを知るツールとして。一般の方は躁うつ病の方とどう関わるかを知るためのツールとして、この動画を活用していただけたらと思います。では始めていきましょう。 （１）躁うつ病（双極性障害）とは 躁はうつの逆「躁状態」。うつはまさに「うつ」。で、「躁」と「うつ」を「くり返す病」です。 近年では、双極性障害という言い方もします。双極というのは、2つの極がある。片方は「躁」の極、もう片方がその逆「うつ」の極。この2つです。 この躁うつ病（双極性障害）の疫学ですけれども、Ⅰ型は約1％弱と言われます。Ⅱ型は、1から5％と統計で差があります。 主に10代発症が多いと言われますが、実際の治療開始は20から40代が多いとも言われます。 ほぼ男女差はなくて、遺伝要素は一部（統合失調症と同程度）。9割以上と再発率が高いとされます。 （２）躁うつ病の症状 大きくは「躁の症状」と「うつ症状」の2つです。 ＜躁症状＞ うつの逆で気分が高揚し「もう何でもできる」と思うような症状です。 ＜具体的には＞ ①自尊心の高まり（誇大的になり、時に誇大妄想） ②睡眠欲求の減少（睡眠時間の短縮、でも「寝なくても大丈夫」） ③多弁（話す内容が増え、「話したくてしょうがない」という焦燥感） ④観念奔逸（考え方が次々と浮かび、考え同士せめぎあう） ⑤注意散漫（刺激に敏感、すぐ気が散る） ⑥目標への行動の増加（目標のための計画増加計画or身体的焦燥感） ⑦過度の熱中（熱中・集中しすぎ浪費等） ＜躁と軽躁＞ 種類は同じですが、程度と影響の強さは違いです。 躁→強く社会生活に大きな影響 軽躁→強さ・影響弱め ＜うつ症状＞ これは「落ち込み」等うつ病とほぼ同様です。 ＜具体的に＞ ①抑うつ気分（気持ちが浮かない） ②不眠（眠れないor過眠） ③興味の減退（何にも興味がわかない） ④罪悪感（悪いことしたと自分を責める） ⑤活力の減退（意欲が出てこない） ⑥集中力の低下（集中できない） ⑦食欲の低下（食欲が減る、人により体重も減る） ⑧精神運動制止（動きがゆっくりに、人により逆の焦燥感） ⑨希死念慮 （３）躁うつ病の分類 大きく言えば躁の強さによって分類していきます。 Ⅰ型→躁のエピソードとうつのエピソード Ⅱ型→軽躁＋うつ 「双極Ⅰ型障害」これは「躁」と「うつ」と繰り返し、特に躁のときに浪費、対人トラブルなどの危険があります。 症状が強い場合は入院を要する方も中にはいます。 「双極Ⅱ型障」これは軽躁とうつを繰り返し、多くの方が大半が「うつ」のため「うつ病」との見分けが困難です。 一方で、治療法はうつ病と違い、鑑別が大事です。 （４）特殊な状態 ＜混合状態＞ 「うつの状態」と「躁の状態」がある種混じった状態。不安定リスクあるため注意必要です。＜急速交代型（ラピッドサイクラー）＞ これは年に4回以上病相は変わる状態。抗うつ薬など、いくつかリスク上げる要素の報告があります。やはり危険あり注意が必要です。 （５）躁うつ病の鑑別 ①うつ病 双極性Ⅱ型は、うつ病と非常に見分けにくいことがあります。ただし治療が変わるため鑑別は大事です。 ②ADHD ADHDの方だと躁うつ病より変動の間隔が短いことが多い。ただし、非常に共通点が多かったり、合併することも多いと最近言われています。 ③体の原因 甲状腺の異常など、体の原因がある場合があります。 （６）躁うつ病の治療です。 主には「薬物療法」そこに「心理教育」を組み合わせます。 ①薬物療法 主に気分安定薬を使い、改善と再発予防を図ります。その時に抗精神病薬を併用するなど、状態等で調整します。 やめると再発のリスク高く、継続が必要です。 ＜気分安定薬＞ 基本的に「波が大きい状態」を「なだらかにする」というものです。 代表的なものはリチウム・バルプロ酸。気分の波を抑え、躁・うつ両方に効果を見込みます。 基本的には、再燃予防・維持療法で継続します。 ＜リチウム＞ 今でも代表的な気分安定薬。特に維持療法では第1選択。一方、急な躁であったり、うつが長い場合には一部弱点があり、他の薬の併用も検討します。 妊娠時のリスクは他の薬と比べて高くその際、他の薬も検討します。 ＜バルプロ酸＞ 特に躁・イライラが強いタイプに対し効果を見込む気分安定薬。リチウムと比べると、臨床上は安全に使える印象がある一方、うつへの効果が弱点です。 妊娠時のリスクはリチウム同様高く、場合により別の薬を検討します。 ＜抗精神病薬＞ オランザピン・アリピプラゾールなど。まず素早く躁状態を抑える効果を見込みます。 一部には気分安定作用・抗うつ作用を期待するものもあります。 特に妊娠時は相対的にリスクは少ないので、こういった薬に変える選択肢があります。 ＜状態と薬＞ 状態によって主に使う薬は一部変わってきます。 まず「躁状態の改善」では基本的にはリチウムを使うんですが、即効性などに弱点あり、抗精神病薬の併用が基本とされます。 「うつの改善」は、同じくリチウムをよく使いますが時に効果弱く、場合によってはラモトリギンや一部の抗精神病薬を使うなど、その人に合わせて検討していきます。 維持療法・再燃予防は、基本的にはリチウムが第1選択になります。ただ、副作用など飲みにくい方に関しては、別の薬の候補もあります。 ②心理教育 躁うつ病の治療の課題、まずは薬を継続・続ける必要があるところ。 続いてが生活面での対策の継続が必要というところ。 あとは疾患の受け入れの大事さ。 この3つを実践する為の心理教育です。大事な点を5つほど挙げていきます。 ＜気分の逆をする＞ うつの時は動きたくない、躁の時は動きたい、というのは自然な流れですけれども、これをしてしまうと、うつで動かないとうつが慢性化したり、躁で動くとさらに躁が悪くなったりしますので、あえてその気分の逆をすることによって、波を減らす・安定化を図るということをお願いをしています。 ＜生活リズムの安定＞ どうしても気分の波がある方は、生活リズムも色々変動がしやすいというところがあります。ただ、一方で不眠から躁になることも有名ですけど、リズムの乱れというのが不安定のリスクになるということが多く指摘されています。 なので、なるべく意識的に生活リズムや「やること」を一定にすることで、安定を図っていくということをしています。 ＜軽うつ安定の受け入れ＞ 躁うつ病が安定した時、多くは軽うつ・軽いうつ状態で安定しているということが多いです。 一方では、自覚的には躁状態と比べるとあまりぱっとしないということでもありますし、逆に躁うつになる前と比べても、ちょっとイマイチの状態という自覚が出ますので、そういうところで気持ち面で葛藤が出やすいということがあります。 ただ、一方で、それで薬をやめてしまったりすると、本当に逆に危険がありますので、ある種のリアリズムを持った上で徐々に受け入れていくということになります。 ＜疾患・長期治療の受け入れ＞ どうしても躁うつ病は、薬の治療を続けていく必要がありますし、それでも再燃リスクがあるというところは見ていかなきゃいけません。 そのためにしばしば葛藤が出てきまして、ただ、一方で治療を中断すれば、それはリスクが非常に高いということになります。 ここは時間はかかるとは思うんですけれども、時間を掛けながら徐々に受け入れを行っていくということになります。 ＜薬の継続＞ 薬の継続は、再燃予防や社会生活の継続にとってはやっぱり必要なものになります。 一方で、軽うつが続くということだったり、疾患の長期化というところがありますので、葛藤が強まりやすい。ただ葛藤が強まり続けると（薬の）中断のリスクが出てくるということがあります。 ここは気持ちの上で徐々に整理して受け入れと動機付けをしていきながら、薬はしっかり続けていくということが大事かと思います。 ＜全体のまとめ＞ 今回は「躁うつ病（双極性障害）」について見てきました。 この「躁うつ病（双極性障害）」は躁とうつを繰り返す脳の病気になります。特に躁の時にトラブルなどが起こりやすいというところがあります。 再発リスクは高いために「気分安定薬」などの薬を、安定した後も続けることが必要になります。 一方で、治療継続などに関して気持ちの葛藤が生じやすいというところがあります。なので病気の勉強をしっかりしながら、気持ちの整理、あと「受け入れ」ということを徐々に進めていただけたらと思います。 こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station） 府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル６階、☎0422-26-5695) #躁うつ病　#双極性障害 　#躁状態　#うつ状態　#気分安定薬　　 【解説者】 医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎 精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医） 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。