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アーカイブ　第五福竜丸の元乗組員　大石又七さんの講演　ビキニ水爆実験に遭遇

静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」が、太平洋上で米国の水爆実験に遭遇したビキニ事件。元乗組員で「語り部」の大石又七さん＝東京都大田区＝は各地で講演を続けている。 　２０１４年１月下旬、東京都内の中学校。第五福竜丸の甲板員だった大石さんは杖をついて登壇し、体験談を語り始めた。 　「広島の時のように黒い雨ではなくて、白い雨が降ってきたんですね。においもないし、味もない」 　水爆実験で白いサンゴ礁が吹き飛ばされてできた「死の灰」（放射性降下物）だった。乗組員たちはめまいや吐き気に襲われ、灰が付着した肌は水ぶくれとなり、１０日ほど後には、髪が抜け落ちた。 　１４歳で漁師になり、当時は２０歳。結婚後まもなく授かった子どもは死産。肝臓がんも患った。だが、見舞金で政治決着済みとされ、何の補償もない。４０～５０代の働き盛りで死んでいく仲間たち。自身は５０歳ごろから講演を始めた。「放射能の恐ろしさを政治家たちは隠している」。冷戦期、米国と旧ソ連の核開発競争は激化し、原発の設置も進む。 　２０１１年の東京電力福島第一原発事故の後、「大石さんの言ったとおりになってきよる」と講演依頼が殺到した。 　脳出血の後遺症で言葉は出づらいが、第五福竜丸展示館（東京都江東区）の市田真理学芸員に助けを借りながら講演している。