摂関政治の実像を語る【ゲスト：倉本一宏（国際日本文化研究センター名誉教授、歴史学者）】 скачать в хорошем качестве

摂関政治の実像を語る【ゲスト：倉本一宏（国際日本文化研究センター名誉教授、歴史学者）】

昨年のNHK大河ドラマ『光る君へ』は、 摂関政治期の宮廷社会を舞台にした初の大河ドラマでした。 平安貴族というと、 近代以降の（さらに言えば近世以降の）武士中心史観の影響で、 和歌や宴会、恋愛など遊びにうつつを抜かした惰弱な存在であり、 社会の現実と向き合わない空疎で観念的な政治を行ったために、 質実剛健な武士たちにとって代わられたというイメージが長く支配的でした。 しかしながら、 古代史研究の着実な歩みにより、 平安時代に対する旧来の認識は 多分に先入観に基づくものであることが明らかになり、 実証研究の積み重ねを通じて実態把握が進んでいます。 かつては、 天皇の外戚となった藤原氏が 天皇をないがしろにして、 私利私欲に基づき恣意的な政治を行ったと思われてきた 摂関政治についても、 古記録の綿密な読み込みによって 『栄花物語』『大鏡』に依拠した通俗的な理解が相対化され、 道長時代の政治から中世の院政への連続性が説かれるなど、 暗い古代と明るい中世を対照的に捉える戯画的な歴史観が訂正されつつあります。 『光る君へ』における宮廷社会の描写も、 以上の古代史研究の進展をある程度踏まえています。 とはいえ、『光る君へ』はあくまでドラマであり、 史実をそのままに描いたものではありません。 そこで本番組では、 『光る君へ』の時代考証を務めた 古代史研究者の倉本一宏さんに、 摂関政治の実像、摂関期研究の現状と課題をご解説いただきます。 倉本さんは学界で研究論文を発表するに留まらず、 摂関政治期に関する多くの一般書を執筆し、 （摂関期以外の時代の著作も多くあります） また藤原実資の日記『小右記』の現代語訳や 摂関期古記録データベースの構築といった 多彩な活動を通じて、 摂関政治や平安貴族に関する啓蒙を進めてこられました。 倉本さんにはこれまでの研究者人生を振り返りつつ、 今回の『光る君へ』時代考証も含めた 一般社会への教育普及活動のあり方について、 思うところを語っていただきます。 視聴者の皆様の活発なご質問・ご意見をお待ちしております。