【精神科】回避が目立つ精神疾患5つ【精神科医が14分で説明】不安障害｜回避性パーソナリティ障害｜うつ病｜統合失調症｜発達障害 скачать в хорошем качестве

【精神科】回避が目立つ精神疾患5つ【精神科医が14分で説明】不安障害｜回避性パーソナリティ障害｜うつ病｜統合失調症｜発達障害

0:00 （１）はじめに 0:22 （２）回避とその影響 2:46 （３）回避が目立つ精神疾患5つ 2:54 ①不安障害 4:59 ②回避性パーソナリティ障害 6:48 ③うつ病 8:23 ④統合失調症 10:10 ⑤発達障害 13:05 （４）まとめ 不安などいやな場面を避ける「回避」は、不安障害のみならずうつ病などでも出現します。短期的には楽になる一方で長期的には悪影響が目立ち注意が必要です。 「回避が目立つ精神疾患5つ」について、精神科医が14分でまとめています。 出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長） こころ診療所吉祥寺駅前　https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所　https://fuchu-kokoro.com 府中カウンセリングルーム（提携カウンセリングルーム）https://fuchu-counseling.com チャンネル登録お願いします　   / こころ診療所チャンネル   ↓詳しい内容はこちらです。 （１）はじめに 不安などが強い場合、その場面を避ける「回避」が見られます。回避は短期的には楽ですが、長期的には様々な悪影響が生じます。 （２）回避とその影響 回避とは 回避とは、強い不安を感じる場面や状況を意識的に避けることです。不安障害でよく見られる行動ですが、他の精神疾患でも頻繁に現れます。 回避の対象となるもの **特定の場所や場面**: 不安を強く引き起こす場所や状況に行かないようにする **人間関係**: 不安を引き起こす人間関係や集まりを避ける **感情や考え**: 嫌悪感のある考えや感情を持つことを避けようとする 回避の短期的なメリット **不安を避けられる**: 強い不安の発生を防ぎ、精神的な安定につながる **混乱を避けられる**: 急な強い発作の発生を防ぎ、困難やトラブルを回避できる **精神不調を避けられる**: 統合失調症などの急性増悪のリスクを減らせる 回避の長期的な悪影響 **克服ができない**: 時間が経っても似たような場面で同様の強い不安が発生する **生活範囲が狭まる**: 回避を続けることで、活動できる範囲が徐々に狭くなる **症状悪化の悪循環**: 避けることでむしろ不安が強まり、悪循環に陥ることがある 回避への主な対策 **脱感作（曝露療法）**: 不安な場面を回避せずに触れて慣らし、克服を図る方法 **認知再構成**: 「これを経験したらもうダメになる」などの破局的な考えの癖に対して、別の見方を習慣的に探していく **受け入れ**: 強い不安があることを受け入れ、悪循環を断ち切る （３）回避が目立つ精神疾患5つ ①不安障害 不安障害は強烈な不安が続くことで生活に大きな影響が出る精神疾患です。不安への回避が長期的な悪影響を及ぼす点で特に注意が必要です。 代表的な不安障害 **社会不安障害**: 人前や対人場面での強い不安 **パニック障害**: 急な心身の不調、パニック発作の繰り返し **全般性不安障害**: 様々な物事への慢性的な不安の持続 **強迫性障害**: 強迫観念と確認行為が特徴的 不安障害での回避 不安障害では、不安への一種の自己治療で苦手な場面を回避することが見られます。短期的には不安が治まりますが根本的な解決ではなく、時間が経って似た場面に遭遇すると強い不安が再度現れます。 また、似た状況の回避すを繰り返すと、生活範囲が大きく狭まり、悪影響が強くなります。 不安障害での回避の影響 **生活範囲の縮小**: 回避によって生活範囲が狭まり続け、引きこもり状態に至ることもある **依存等のリスク**: 回避の一環として多量飲酒（アルコール依存）などが二次的に生じることがある **治療への悪影響**: 不安障害の治療に必要な服薬や脱感作も回避してしまい、慢性的に不安が続くことがある 不安障害での回避への対策 まずは不安障害の治療に準じて、抗うつ薬SSRIで不安を軽減し、回避の必要性を減らしていきます。その上で、回避の逆である「脱感作」を軽いところから始め、慣れてきたら徐々に負荷を広げつつ反復し、狭まった生活範囲を元に戻します。 ②回避性パーソナリティ障害 回避性パーソナリティ障害は、長期間持続する物事全般への回避が特徴のパーソナリティ障害です。定義上は成人で診断されますが、生来の特徴である場合も多いです。幅広い物事を持続的に避け、特に対人関係を避けることが多いのが特徴です。 回避性パーソナリティ障害の回避の特徴 **対人関係の回避**: 拒絶のリスクが少しでもあれば人間関係を回避する **失敗や恥の極度の回避**: 失敗や恥をかくリスクがある物事全般を回避する **社会的抑制**: 拒絶リスクのある職業や社会的活動を回避する 回避性パーソナリティ障害での回避の影響 **孤立**: リスクが少しでもある相手を避け続けることによる孤立 **社会活動の困難**: リスクを恐れるあまり仕事などができなくなる **引きこもり**: 様々な物事を回避した結果としての引きこもり状態 回避性パーソナリティ障害での回避の対策 抗うつ薬の効果は基本的に限定的で、治療は難渋することが多いです。不安に対する脱感作は有効な場合もありますが、第三者からの強要は逆効果です。あくまで本人が希望した場合のみ可能性が生まれます。 それでも回避や過敏さは根強いため、脱感作は慎重かつ長期的に行わないと効果が出にくいのが現実です。 ③うつ病 うつ病は落ち込みなどのうつ症状が続くことが特徴です。主に脳内物質セロトニンの不足が背景です。症状が悪化すると回避が目立ち孤立することがあります。 うつ病の回避の背景 **不安**: 対人関係の拒絶への不安が強まり、予防として回避しやすくなる **罪悪感**: 周りへの申し訳なさや罪悪感から対面することが難しくなる **意欲や感情の低下**: 意欲がわかず楽しめないため、対人関係などを回避しやすくなる うつ病での回避の影響 **孤立**: 人を避けることで孤立状態に陥りやすい **社会活動の困難**: 仕事などで必要な関係を回避した結果、社会活動が難しくなる **うつ病の悪化**: 回避する代わりに嫌なことを繰り返し考える「反芻思考」により、うつ病がさらに悪化するリスクが高まる うつ病での回避の対策 うつ病の回避は症状の一つのため、まずは抗うつ薬や休養などうつ病の治療を行います。安定後も回避が残る場合は、徐々に人に慣らす脱感作を行います。回避の範囲が広い場合は、様々な場面で脱感作を行い、狭まった生活範囲を徐々に広げます。 ④統合失調症 統合失調症は悪化すると幻聴や妄想などが目立つ脳の不調です。脳内のドーパミンの働きの過剰が主な背景です。症状改善後に陰性症状から回避が目立つ場合があります。 統合失調症の回避の背景 **陰性症状**: 意欲や感情が大きく減退し、人との関わりを避けることが長期間続く **残った陽性症状**: 被害念慮（他者への疑い）などが残ると、それが原因で人を回避することがある **経験からの不安**: 統合失調症の急性発症の経験のショックなどから、再発への不安で人などを回避することがある 統合失調症での回避の影響 **孤立**: 人との関わりを明確に避けることが続き、孤立状態になりやすい **日常活動の困難**: 対人的なサポートが受けられなくなり、日常的な活動も困難になることがある **再発リスク**: 生活リズムや服薬習慣などが乱れると、再発の危険が生じる 統合失調症での回避の対策 統合失調症での回避は一種の「自己治療」の面もあり、第三者が無理に人と関わらせることは危険が大きいです。本人が希望し、かつ安定している場合のみ、慎重に活動を増やしながら対人場面に慣らすことが考えられます。 しかし、現実的には精神科デイケアなどの「枠組み」を活用していくことが疾患特性上効果的です。 ⑤発達障害 発達障害はASDとADHDが代表的な、生来の脳機能の偏りです。幼少期発見が多い一方、成人後の発見もあります。基本的には薬でも完全には改善しない障害、ストレスからの二次障害の合併に注意が必要です。 代表的な発達障害 **ADHD（注意欠如多動症）**: 不注意、多動・衝動性が特徴的で、ミスや忘れ物などが目立つ **ASD（自閉症スペクトラム）**: 社会性の障害やこだわりが特徴的で、場の空気を読まない言動などが目立つ 発達障害での回避 ASDでは特性から回避が目立つ場合もありますが、二次障害的に回避が増える場合も少なくありません。一方、ADHDでは主に二次障害から回避が目立つことがあります。 ASD特性からの回避 孤立型のASDでは、他者への興味が薄く、自然に人や周りを回避することがあります。一方、積極奇異型のASDではむしろ人に近づきますが、拒絶されて二次障害的に回避が目立つようになることがあります。 発達障害の二次障害としての回避 発達障害では、周りとのずれを背景に不適応を繰り返すか、過剰適応になるかが多いです。不適応ならその経験の影響から、過剰適応ならその疲れから「回避」に至ることがあります。 発達障害での回避の影響 **孤立**: 他者との会話の技術的な困難に対人回避が重なり、慢性的な孤立状態に陥りやすい **社会生活の困難**: 仕事などが難しくなり、生活能力に弱点がある場合は日常生活も困難になる **引きこもり**: 困難が強い場合は引きこもり状態が長期間続くことがある 発達障害の回避への対策 孤立型ASDで自主的に回避している場合は、周囲は無理強いせず、本人による克服を見守ることが現実的です。一方、二次障害的な回避の場合は、まず環境調整で安全な環境を確保することが第一歩となります。 その上で余力があれば、社会的スキルの獲得を土台として、徐々に対人関係への脱感作を図っていくことが理想的です。 （４）まとめ 回避は強い不安などに対して起こり、短期的には精神的に落ち着きますが、長期的な悪影響は大きいものです。回避が目立つ主な精神疾患は、不安障害、回避性パーソナリティ障害、うつ病、統合失調症、発達障害の5つです。 基本的には不安場面に慣らす「脱感作」が有効ですが、第三者が強要すると危険が大きくなります。特に精神状態が不安定である場合は、本人の意思を尊重して慎重に進めることが重要です。 こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station） 府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル６階、☎0422-26-5695) #精神疾患 　#回避 #不安障害 　#うつ病 　#回避性パーソナリティ障害　#精神科医 　 【監修者】 医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎 精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医） 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。