【双極性障害】躁状態を抜ける【精神科医が11分で説明】躁うつ病｜精神科｜こっちのけんと скачать в хорошем качестве

【双極性障害】躁状態を抜ける【精神科医が11分で説明】躁うつ病｜精神科｜こっちのけんと

0:00 （１）はじめに 0:21 （２）双極性障害と躁状態 2:36 （３）「躁状態を抜ける」葛藤 4:55 （４）双極性障害の治療とリカバリー、その時代に伴う変化 8:22 （５）「躁を終わらせる」必要だが重い決断 10:20 （６）まとめ 双極性障害（躁うつ病）では、何でもできると感じむしろ動きすぎる「躁状態」を繰り返し経験します。休養と薬を続け早めに躁状態を抜けることが望まれますが、本人の中では一種の「祭りの終わり」とその後の「うつ状態」を思うとき、強い葛藤が生まれます。 １月１日、双極性障害（躁うつ病）を公表した歌手「こっちのけんと」氏が、長期的な健康の観点等から「休養」を宣言しました。この決断は、今後の「双極性障害のリカバリー」を考える中で、大きな一歩と思われます。 「躁状態を抜ける」について、精神科医が11分でまとめています。 出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長） 参考文献：yahooニュース「こっちのけんと、当面休養へ「また頑張れそうな時が来るまで…」https://news.yahoo.co.jp/articles/302... こころ診療所吉祥寺駅前　https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所　https://fuchu-kokoro.com チャンネル登録お願いします　   / こころ診療所チャンネル   ↓詳しい内容はこちらです。 （１）はじめに 双極性障害では、躁状態を繰り返し経験します。医学的には躁状態は早期に改善することが望ましいとされていますが、当事者の中では「躁状態を抜ける」ことに対して、しばしば大きな葛藤が生じます。今回は、この躁状態を抜けることの意味と、その過程で生じる葛藤、そして対策について考えていきたいと思います。 （２）双極性障害と躁状態 双極性障害（躁うつ病）は、躁状態とうつ状態を周期的に繰り返す精神疾患です。うつ病とは異なる脳の不調のメカニズムが指摘されており、脳の状態を整えるために気分安定薬による治療と再発予防が必要となります。 双極性障害には主に4つの状態があります。 1. 躁状態：気分の高揚が顕著で、トラブルの危険性が高い状態 2. 軽躁状態：軽度の躁状態で、過度な活動によってさらなる悪化のリスクがある状態 3. 軽うつ状態：軽度のうつ状態で、安定期にはこの状態になることが多い 4. うつ状態：強い落ち込みが特徴的な、うつ病に類似した状態 躁状態では、全能感を背景として、過度な活動、会話、消費行動が見られます。その結果、対人関係のトラブルや多額の借金などを引き起こし、入院治療が必要になることも少なくありません。さらに、躁状態が治まった後のうつ状態時に、躁状態での行動を強く後悔して精神状態が不安定になることもあります。 医学的に躁状態の早期解決が望まれる理由として、以下が挙げられます： 長期化するほど反動のうつ状態が強くなりやすい 借金や対人トラブルのリスクが増大し、その後の影響も深刻化する 強い躁状態の長期化により、認知機能への影響が懸念される （３）「躁状態を抜ける」葛藤 周囲からみると、躁状態を抜けることは病状の改善やトラブル回避の観点から歓迎されます。しかし、当事者本人にとって、特に自らの意思で躁状態から抜け出すことには、強い葛藤が伴います。 この葛藤には主に3つの意味があります： 1. 「祭りの終わり」： 躁状態が終わると、それまでの活動的で充実感のある時間は過去のものとなります。特に自ら休養を選択して躁状態を終わらせる場合、この喪失感はより強く実感されます。 2. 「以前のうつ状態への回帰」： 躁状態が終わると、程度の差こそあれ基本的にはうつ状態となります。活動量は大幅に減少し、感受性も低下して、日々は淡々としたものになります。考え方のパターンや基本的な気分も一変し、その変化への適応は容易ではありません。 3. 「長期的な重要性の認識」： 近年では、医療者から「躁は短い方が良い」という説明を受ける機会が増え、当事者自身も情報収集を行うようになっています。躁状態が周囲に与える影響も理解しており、長期的な影響を軽減すべきことも認識しています。しかし、この「理性的な理解」と「実感」の間には大きな隔たりがあり、そこから葛藤が生まれます。 （４）双極性障害の治療とリカバリー、その時代に伴う変化 双極性障害の基本的な治療は、気分安定薬の継続服用です。躁状態時には抗精神病薬を併用することが多く、気分安定薬は安定期やうつ状態時も再発予防のために継続が必要です。 治療の枠組みは時代とともに変化してきました。以前の躁状態治療は、主に入院による十分な投薬治療が基本でした。躁状態が終わり、安定もしくは軽いうつ状態になってから退院し、その後は外来で治療を継続するというパターンが一般的でした。 現在では、重度の躁状態における入院治療の必要性は変わりませんが、軽躁などでは薬物療法を基盤としつつ、より自己管理的な対策の重要性が増しています。具体的には： 生活リズムと生活習慣の一定化 気分状態に応じた行動調整（うつ時は活動を増やし、躁時は休養を取る） 服薬継続の重要性理解と実践 心理的葛藤の自主的な整理 （５）「躁を終わらせる」必要だが重い決断 治療が奏功すると、躁状態が徐々に治まり、一部うつ的な状態が混在してきます。この時期が、躁状態を終わらせるかどうかの重要な分岐点となります。治療を継続し十分な休養を取れば躁状態は収まりますが、この段階で特に強い葛藤が生じ、刺激を求めて躁状態を持続させようとする場合もあります。 躁状態を終わらせることを支持する考え方： 躁状態後のうつを緩和し、長期的な予後改善につながる 自己コントロールの象徴的な行動となる 本来の自分のあり方を躁以外に見出す機会となる 一方で、躁状態を終わらせることに抵抗を感じる理由： 活動的な自分を手放すことへの抵抗感 長期化する可能性のあるうつ状態への不安 双極性障害に自分の本質を支配されているという感覚 最近では、双極性障害を公表している著名人の経験が注目されています。２０２４年紅白歌合戦出演後、有名歌手「こっちのけんと」氏が躁気味の状態を自覚し、病状安定と長期的展望から休養を宣言したケースは、現代における双極性障害との共生のあり方を示す重要な出来事となりました。 （６）まとめ 双極性障害における躁状態からの回復は、医学的には早期が望ましいものの、当事者にとっては大きな葛藤を伴う過程です。治療アプローチは時代とともに変化し、入院治療中心から自己管理の重要性が増す方向へと進化してきました。「躁状態を抜ける決断」は依然として重い選択ですが、著名人の経験共有なども含め、新しいリカバリーの形が模索されています。この過程における当事者の葛藤を理解しつつ、適切なサポートを提供することが、今後の治療とケアにおいて重要な課題となっています。 こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station） 府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル６階、☎0422-26-5695) #躁状態 　#双極性障害 #躁うつ病 　#精神科医　#こっちのけんと 【監修者】 医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎 精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医） 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。