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心理検査で知能指数(IQ)が心配です【発達障害でのWAIS検査にて、数値化には功罪あり、精神科医が6分でまとめ】

0:05 はじめに 0:33 発達障害の診断とWAIS検査、結果出る「知能指数（IQ)」 1:51 数値化のメリットとデメリット 5:22 まとめ ASDやADHDといった「発達障害」の診断で、しばしば「WAIS検査」を行います。ここで結果として知能指数（IQ)が出ますが、自己理解や対策などに役立つ一方、数値化によるデメリットにも注意が必要です。知能指数はあくまで「検査での数字」であり、あなた全体ではありません。 精神科医が約6分の動画にまとめています。 出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長） こころ診療所吉祥寺駅前　https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所　https://fuchu-kokoro.com チャンネル登録お願いします　   / こころ診療所チャンネル   ↓↓内容の詳細は下記になります。 ＜ご質問：心理検査で知能指数が心配です＞ ご質問にお答えします。今回は「心理検査は知能指数が心配です」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。 今回お受けしましたご質問です。「発達障害を疑って、心理検査を予定されています。しかし、心理検査の知能指数が出るということが大変心配です」というご質問になります。 お答えとしては「確かに難しい問題ですので、総合的に検査するかも含めて検討していただけたら」という風にお答えします。 ＜発達障害と心理検査（特にWAIS検査）＞ 発達障害とはということですけども、これは生まれながらの脳の特徴ということになりまして、幼少期にわかることは多いんですけれども、大人になってから不適を繰り返すなどで見つかるということもあります。 不注意などが特徴的な「ADHD」と対人的な問題・社会性の障害などが問題になる「ASD」この2つが代表的になります。 診断のためには問診・質問していくことのほか、確定診断のために客観的に（診断に関連しての）物事を見るためにいわゆる心理検査をすることが少なからずあります。 その中でも、代表的な心理検査「WAIS検査」というのを見ていきますけど、これは代表的ないわゆる知能検査になりまして、さまざまな問題を2時間ほどして解くことで、いろいろ結果が出てきます。 発達障害に特徴的な得意と苦手のばらつきというところを見ていく。 そのほかにも、検査でのご様子など特徴的なものはないかをみるなどもしまして、そういう客観的なものから診断の助けにするということをしていきます。 このWAIS検査で主にわかる数字ですけれども、いずれも平均が100で高いほどいいとされて、70から130の間に約95%が該当します。 まずは全般的な知能指数、いわゆるIQが数字で出てきます。 もう一つ4つの分野の、IQ的には、似た数字というのが出てきまして、その得意と苦手をばらつきというのを見ることができます。 ＜数値化の長所と短所：漫画での「戦闘力」の例＞ この数字なんですけれども、数値化するということにでは、長所も短所もあるということは触れておかないといけません。 別の例として、いわゆる（今も有名な）少年漫画でありました「戦闘力」というのがありました。 この漫画では、元は冒険の漫画だったんですけども、だんだん相手・ライバルが強くなってくるということが出てきました。 その中で、その相手の強さということを明確化するために、いわゆる「戦闘力」という風に、相手の強さを数字で1元的に表すというやり方を導入しました。 その結果、分かりやすいなどによって1種の評判を呼んで、同様のシステムが他の漫画でも受け継がれるという点はありました。 ただ、一方で、その各キャラクターの特徴は、それまではいろいろな個性があったものがもう数字「このキャラクターはこの戦闘力だ」みたいな数字に一元化されてしまったというところは指摘される声もありました。 その結果、その戦闘力が高いいわゆる主役級のキャラが目立つことになって、その他のキャラクターはあまり目立たなくなってしまったという指摘もあったということがありました。 ＜数値化のメリット・デメリット＞ これに数値化のメリットデメリットは凝集されているところがあります。 まず、数値化のメリットということですけども、1つ目としては非常に分かりやすいということです。 この人はこういった症状がこのぐらいあってとか、色々ここで話すよりも「この人のIQがこれです」みたいなシンプルに数字で分かるというのは、非常に分かりやすいというところがあります。 2つ目としては、対策にもクリアに結びつきやすいというところがあります。これはIQの数字がこれぐらいだから、得意・苦手は大体これぐらいというのも分かりますし、あと、得意分野、苦手分野というのが数字レベルでどれぐらい差があるというのは分かりますので、色々対策を取っていくのにはヒントになります。 そして、他の人や関係する人たち（援助者など含む）に対しても、こういう（数字の）情報ですというのは、非常に明確に情報を伝達しやすいと伝えやすいというところがあります。 一方でデメリットもあるというところです。 1つ目としては、まさに数字が目立ち過ぎてしまうと、その人の個性というところより、まずは数字というところが出てしまうというのが弱点になってきます。 そして、これの結果、自分で自分にある種この数字だと厳しいとかレッテルを貼ってしまう場合もあるかもしれませんし、他の人からちょっとこの数字だとみたいなイメージを持たれてしまうということも出てくる可能性があります。 どうしても特にいわゆる知能検査（IQ）のような、「その人全体」と、ともすると結び付いてイメージされてしまいがちな数字には注意が必要なところがあります。 ＜対策：知能指数の限界を知る＞ 対策としては、この知能指数には限界があるというところを知っておくというのが一つ現実的な話です。 あくまでこの知能指数IQは、検査いろいろ問題を解いた結果出てくる数字になりますので、あくまで検査値の数字にすぎなくて、その人の全体を表すものではなくて、あくまで検査での数字だというところです。 それで全体像が掴むことは確かにできる。ただ、細かいその人特有の細かいところまで分かるかと言われると分からないところは大いにあるというところです。 それに関係して、その人の個性であったり、その人の特技がどうか、そういう人間的なところに関してはあまり反映されないというところがあります。 なので、あくまでこのIQなどの数字というのは参考になる部分はあるんだけども、その人自体ではないというところ。それはもう切り離して結果を見ていくというところが大事なんじゃないかと思います。 そして、それでもやはり気になるということであれば、心理検査をするかどうか。今一度検討していただけたらというふうには思います。 ＜まとめ＞ 今回はご質問「心理検査の知能指数が心配です」というところについて見てきました。 発達障害の診断で問診の他に「WAIS検査」という心理検査をすることが多くあります。そこで、知能指数が結果として出てきますけれども、この数値化というのはメリットデメリット双方大きくあるものになります。 自己理解・自分の理解や今後の対策というところには、この数字は生かすことは確かに有効です。ただ、一方で数字にとらわれ過ぎない。特に数字から出るネガティブなものにはとらわれ過ぎないということは同時に大事になってくるんじゃないかと思われます。 こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station） 府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル６階、☎0422-26-5695) #発達障害 #WAIS 　#知能指数　#IQ　#戦闘力　　 【解説者】 医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎 精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医） 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。