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【生活に生かす精神医学】乗り越える【急性ストレス障害・適応障害等の克服に。精神科医が12分でまとめ】

0:05 （１）はじめに 0:35 （２）ストレス反応と急性ストレス障害 2:47 （３）急性ストレス障害の治療 4:10 （４）不調が続く時の治療 5:31 （４）続き：どう出来事を乗り越える？ 8:23 （４）続き：支えを持つ 10:50 （５）まとめ 実際につらい出来事があり、その後に「急性ストレス障害」や「適応障害」などのメンタル不調が出た時、どのように乗り越えていくのがいいでしょうか？ 精神科医が約12分の動画にまとめています。 出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長） こころ診療所吉祥寺駅前　https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所　https://fuchu-kokoro.com チャンネル登録お願いします　   / こころ診療所チャンネル   ↓↓内容の詳細は下記になります。 （１）はじめに：乗り越える 生活に生かす精神医学。今回は「乗り越える」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。 落ち込みなどの不調の背景でよく「考えのくせ」であったり、「環境」の話がある一方で、実際に非常につらい出来事があって、その後にメンタル不調が出ることがあります。 その場合、どうその状況を乗り越えていくか。 今回はこの「乗り越える」についてやっていきたいと思います。 （２）ストレス反応と急性ストレス障害 ストレス反応は、ストレスへの心身・心と身体の反応。 これは、多くの場合は経験をしても自然に回復するのが一般的ですが、時に問題になる場合があります。 問題になる時としては、「まずストレスとその反応が強い時」あとは「反応や不調が長く続いてしまう時」 ①ストレスが強い時 ここでDSM-5で「急性ストレス障害」の診断基準の要点を見ていきます。 A：非常に強いストレスの出来事に暴露（遭遇）した B：様々な心身の症状の発生（5つ以上の領域で9つ以上の症状） C：症状が続くのがストレスの状況があってから「3日以上1か月以内」 基本的にはこの「急性ストレス障害」は徐々に改善するというのが一般的です。 出来事があって直後にピークがあって、その後は徐々に回復することが多い。 そして、1か月以内にはだいぶ持ち直すことが多いというのがあります。 1か月以上続く場合に関しては、病名も別の病名になります。 ②反応や不調が続く時 1か月以上続いた時の病名は以下のようになります。 １）適応障害 ストレスを自覚する状態と心身の不調が続きます。 ２）うつ病 脳のセロトニン不足、ストレスから離れても不調が続きます。 ３）PTSD 「侵入思考」などなど独特な症状が長く続きます。 （３）急性ストレス障害の治療 基本的には自然軽快を促します。 ＜軽快を促す要素＞ ①体調面 睡眠やリラックスなど、体調面の改善が自然軽快につながります。 ②サポート 話し相手等、サポートがある事で改善につながる場合があります。 ③ストレスの対策 心理面の整理や環境調整が、時に自然軽快に有効です。 ＜薬は必要な時だけ使う＞ ①睡眠薬 不眠続くと自然軽快望みにくいため。依存ない薬が第一候補。 ②抗不安薬 不安で休まらず悪循環になる時に検討します。 ③抗うつ薬 自然軽快が望みにくい時に、長期化を防ぐために検討されます。 （４）不調が続く時の治療 ①疾患に対応した治療 うつ病であれば「抗うつ薬」適応障害であれば「ストレス対策」PTSDであればまずは今の生活の充実を図るなど。 ②侵入思考への対策 「侵入思考」は、いわゆるフラッシュバック的に嫌な考えとか出来事が出てきてしまう事です。それに巻き込まれてしまうと精神不調になります。 ＜対策＞ 基本的にはいわゆる強迫観念への対策と近いです。 出てくるのは「脳の誤作動」的に仕方ないので、なるべく受け流し、「今やるべきこと」に集中します。 「出てくる」のは止めること困難ですが、その「扱い方」に調整の余地があります。 ③どう出来事を乗り越えるか ＜過去よりも、今と未来を大事に＞ どうしても過去に執着し過ぎてしまっても、過去には戻れないというところはあります。 それによって逆に今と未来を見失ってしまうということがあれば、なかなか前向きな回路を作りにくいということがあります。 なので現実的な話としては、今のことに集中して小さい成功体験・プラスの体験を徐々に積み重ねていって、その「上書き」をしていく。 それによって過去の影響を徐々に薄めていって、だんだん未来を良くしていくというところが、やはり基本になってくると思います。 ＜過去の整理が必要な時も冷静に＞ ただ、一方で、どうしても過去の整理をするのが時として重要になることはあり得るかと思います。 ただ、これもあくまで「冷静に全体を見て」俯瞰して、それ（過去の整理）をやるというのが前提だと思います。 今と過去は違うという前提で、ちょっと一歩引いて冷静に振り返るということはあり得るのかと思います。 そこで「過去の出来事」が、今と未来にどう繋がっているか・どうつながるかというところを冷静に見ていって、意味付けをして、あくまで今と未来に繋がる形で意味付けをしていくというところ。 で、タイミングとしては振り返って凄く精神的に不安定になるのであれば、これはもう時期尚早。むしろ逆効果になってしまうので、冷静に今をやっていって、冷静にそれ（過去）を見れる時に必要があればやるということだと思います。 ＜直面をする場合の3段階＞ まずはその土台の体調を管理したり、精神状態を管理する。 十分余力がある段階で無理ない形で直面をして色々出来事・自分の中での出来事・あり方を整理していくというところがあります。 ここでポイントとしては「焦らず徐々にやる」というところと「支えを持っていく」ということがあります。 ＜直面は一種の脱感作＞ 直面というのは、ある種「脱感作」慣らすというところの要素が大きいです。 嫌な出来事に関連した「嫌な感情」に徐々に慣らしていくというところがあります。 なので脱感作の原則としては、必ずこれは「何とかなる時だけ」やるというところです。圧倒されてしまうと逆効果になってしまうので、あくまでも距離を取って振り返れる時に限って、やるかどうかを検討するということだと思います。 そしてかなり消耗しますので、休養や体調管理はセットで行なうということがあろうかと思います。 ＜無理をせず徐々に＞ 直面するのは本当に消耗してしまいますので、長時間やってしまうと非常に危険です。なので、10分とか20分とか時間を決めて負荷がかかり過ぎないようにやるのが基本になります。 そして、その後はしっかり気分転換をしたり、休養したりして状態を戻していくということが大事です。 そのうえで、休養などして体調を万全にしてから再度無理せず直面をしていく。無理せず、徐々にやっていくのが大事だと思います。 ＜支えを持つ＞ やはり負担がかかりますので、そこで折れないための支えを持つことが大事。 具体的に見ていくと、大まかにはまず1つ目はサポート体制。2つ目としては日々の行動の積み重ね、3つ目がアファメーション、いわゆる自己暗示になってきます。 １）サポート体制 人によっては周囲のサポートが支えになって、そういうところ（直面等）をやりやすくなることはあり得るかと思います。 具体的にはご家族であったり、知人であったり、ある種専門的なものだったらいわゆるカウンセリングの話であったり、こういったことなどが候補にはなり得るかと思います。 大事なのは「依存し過ぎない」ということです。依存し過ぎてしまうと、相手の方にすごく負担がかかってしまうということもありますし、逆に自分自身が向き合うことの妨げになってしまう場合もあります。 あくまで「直面をする主体はご自身」だということは忘れない中で、サポート体制を検討していただけたらと思います。 ２）日々の行動 人を変化させるというのは、本当に日々の行動の地道な積み重ねになってきます。 なので、今を充実させて経験を上書きすることで、過去と距離を取っていくというのはまず大事です。 その上で小さい成功体験を重ねて、直面するための土台になります「自己肯定感」を徐々にでも高めていくというのがもう一つ大事なことになってきます。 ３）アファメーション（自己暗示） これは自分に前向きな言葉を繰り返し言い聞かせる「一種の自己暗示」になります。 言い聞かせを繰り返すことによって、自分自身、そういうプラスのことを受け取ることを反復して、その行動の繰り返しで、自分に前向きな自己暗示をかけていくというところになります。 これは特に何か直面した時など、ストレスが強くかかった時にぶれない為、折れない為に有効な方法になります。 このアファメーションは、確かに危険な時があるのは否定できない。 例えば、直面をしないで、ただプラスの言葉だけ掛けたり、後は現実を回避する為にそういう自己暗示をかけてしまうとなると、これは逆効果になってしまいます。 また、もう一つ危険なのが「他の人にかけられるタイプの自己暗示」他の人から、「いや、その個性才能だから」みたいな風に言われたりして、それで現実を見ない形で何か暗示がかかってしまうというのは逆に危険があります。 ただ、今回の場面においては、自分が直面をした上での自分が主体になった自己暗示ですので、これは場面としては良い適応になるんじゃないかというように考えます。 （５）まとめ 今回は生活に生かす精神学「乗り越える」について見てきました。 ストレスに心身の反応があるということはあるんですけれども、一方で多くは自然軽快します。ただ、この中でストレスが強くかかった時、及び不調が続く時には注意が必要になってきます。 できれば早期に状態を整えて、急性ストレスの反応のうちに改善を図っていきたいと。で、続く場合は必要な精神疾患に応じて治療をしつつ、特に「侵入思考」といって前の嫌なことを思い出すことを、うまくかわしていくということが大事になってきます。 まずはやはり今の状態・今の活動を充実させていくのが「乗り越えていく」ことの鍵になります。 ただ、時として直面を要することがあると。その時はただ直面が必要でも無理はせず、日々の行動であったり、ある種の自己暗示をうまく支えとして活用して、無理ない形でやっていただけたらと思います。 こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station） 府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル６階、☎0422-26-5695) #急性ストレス障害　#ストレス反応 　#適応障害　#アファメーション　#侵入思考 　　 【解説者】 医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎 精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医） 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。