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着物（3/7）雅、風流な装い

「おしゃれ」って何だろう？平安時代の日本人も、今を生きる私たちも、この無限の可能性のある問いについて探究し続けています。日本には「雅」「風流」「婆娑羅」「かぶく」「粋」など、装いへの「おしゃれ」を表す多彩な言葉があります。古来より日本人は着物を通して価値観や美意識を磨いてきました。世界初のファッション雑誌も日本で生まれました。日本の着物には1400年以上も探究してきた「おしゃれ心」が十二単のように重なり合っています。「雅」、「風流」、「婆娑羅」、「かぶく」、「粋」。そのすべての時代の価値観を包み込む着物。この映像は、好きな着物をおしゃれにまとう魅力と受け継がれてきた日本の装いについて紹介しています。 着物とは個性の表現です。機能性が良いわけでも、必要性があるわけでもないのに流行の「おしゃれ」な装いを楽しむ。すこし着こなしやデザインを変えるだけで、オリジナルの価値観を表現する装いになる。その個性の表現は時代を作ります。「着物」と聞くと少し敷居が高くて、面倒くさい印象もあるかもしれません。しかし100種類を超える日本の色、その色の組み合わせ、植物・動物・縁起物など大小多様な絵柄。そこから最も自分の着たいものを選択する。その組み合わせは無限であるからこそ、そこに個性が表現されます。 平安時代には、色の組み合わせで四季を表す「雅」な装いが愛され、重ね着で中間色を生み出す高度な美意識が発達します。色合いには教養とセンスが問われ、季節を少し先取りした服装が「風流」とされました。貴族社会では、男女ともに気軽に対面することができず、御簾越しにわずかに見える衣の色や重ね方が、教養やセンスを測る重要な要素でした。春には桜、秋には紅葉といった季節を先取りした色目が尊ばれ、かさね色目は200種以上にも及びました。重ね着は10枚が基本で、総重量は10kgを超えることもありましたが、その重ささえ受け入れられていました。 室町から安土桃山時代にかけては武士が「婆娑羅」「傾奇」といった服飾文化を牽引します。豪華絢爛で奇抜な装いが個性の象徴となりました。金・銀といった強い色、巨大で派手な鎧兜、あえて崩して着る着こなし、女性の男装、男性の女装など、常識に縛られない自由な美意識が花開きます。 江戸時代になると、ファッションは庶民のものへ。歌舞伎役者や町娘の着こなしが浮世絵を通じて流行します。世界初のファッション誌が刊行されました。江戸時代には「粋」の文化が成熟しました。派手ではないのに目を引く、洗練された立ち振る舞いや色合わせ。裏地のこだわり、帯の色の使い分け、小物との調和、髪型の流行など、さりげないおしゃれこそ価値がありました。お花見や夏祭りは、庶民にとって最高のファッションショーであり、「自分の装いを見せに行く」場所でもあったのです。 そんな日本の着物の魅力について教えてくれるのは静岡市駿河区にある「つむぎや」の藤田祐作さんです。お客様が、数多くの着物から好きな色柄を選び、帯を合わせ、髪を整える様子を撮影させていただきました。長襦袢の上に着物をまとい、裾の長さを調整し、体形に合わせて美しく仕上げていきます。着物はサイズが多少違っても調整でき、誰でも美しく着られます。藤田さんの長襦袢には「一富士二鷹三茄子」の縁起柄が隠されており、見えない部分にこだわる「粋」を感じられます。「慣れれば着物はスーツを着るよりも早く着替えられる」という藤田さんは1分での着替えを見せてくれました。 着付けが終われば神社へお出かけします。平安時代から受け継がれてきた日本の風景に着物の色合いがよく合います。着物の魅力について藤田さんは「着物の組み合わせに正解はなく十人十色。そのコーディネーションを楽しんでもらいたい。」と語ってくれました。この映像から日本の服飾文化、そして「おしゃれ」について探究してもらえたら嬉しく思います。 フルバージョンの映像を7回に分けて公開いたします。 この教育映像を視て「着物を選んで着てみたい！つむぎやで着付けをお願いしたい！自分の着物を作りたい！」などのご要望がありましたらコメント欄または下記メールアドレスまでご一報いただけたら嬉しく思います。 お問い合わせ　[email protected] ◎　チャンネルの概要について 子供たちからの素直な問いを探究するために開設した教育映像チャンネルです。 日常的によく目にする日本のものや表面的に体験している日本の文化は、知れば知るほど奥深くおもしろいのに、なかなか知る機会がありません。このチャンネルでは日本文化の継承者である職人や生産者に密着し、その想い、魅力、お仕事について、教えていただきます。映像の情報は信頼性の高いデータを基に構成されており、専門家による監修も受け、関係者による確認を得てから配信しております。国内外の小中学生の学習にも安心して活用していただけるコンテンツとなっておりますので、日本語教育、英語教育、文化教育、キャリア教育等にも使用していただけたらうれしく思います。 ◎　ニッポンカルチャースタジオHP https://nipponculture.net 〇　楽曲利用　フリーBGM DOVA SYNDROME（https://dova-s.jp/） 〇　イラスト利用　イラストAC（https://www.ac-illust.com/） 〇　写真利用　写真AC（https://www.photo-ac.com/） 〇　動画利用　動画AC（https://video-ac.com/） 〇　引用資料画像　Ukiyo-e Search（https://ukiyo-e.org/） 〇　引用資料画像　ColBase（https://colbase.nich.go.jp/?locale=ja） 〇　引用資料画像　国立国会図書館デジタルコレクション（https://dl.ndl.go.jp/） 〇　引用資料画像　国立国会図書館サーチ（https://ndlsearch.ndl.go.jp/） 〇　引用資料画像　国立公文書館デジタルアーカイブ（https://www.digital.archives.go.jp/） 〇　引用資料画像　ジャパンサーチ（https://jpsearch.go.jp/） 〇　引用資料画像　国書データベース（https://kokusho.nijl.ac.jp/?ln=ja） 〇　参考文献　長崎巌 監修（2008）「きもの」東京美術 〇　参考文献　女子美術大学 監修（2011）「江戸の美きものデザイン」東京美術 〇　参考文献　谷田有史/村田孝子 監修（2015）「江戸時代の流行と美意識」三樹書房 〇　参考文献　菊池ひと美 著（2023）「江戸の衣装と暮らし解剖図鑑」エクスナレッジ 〇　参考文献　菊池ひと美 著画（2011）「江戸衣装図鑑」東京堂出版 〇　参考文献　橋本澄子 編（2005）「図説着物の歴史」河出書房新社 〇　参考文献　増田美子 編（2010）「日本衣服史」吉川弘文館 〇　参考文献　増田美子 編（2013）「日本服飾史」東京堂出版 〇　参考文献　丸山伸彦 著（2008）「江戸モードの誕生」角川学芸出版 〇　参考文献　撫子凛 著/丸山伸彦 監修（2021）「イラストでわかるお江戸ファッション図鑑」マール社 〇　参考文献　撫子凛 著/荘加直子 監修（2024）「小袖雛型ファッションブック」マール社 〇　参考文献　似内惠子 著（2018）「子供の着物大全」誠文堂新光社 〇　参考文献　似内惠子 著（2014）「明治・大正のかわいい着物モスリン」誠文堂新光社 〇　参考文献　弓岡勝美 著（2007）「時代きもの」グラフィック社 〇　参考文献　和の技術を知る会 著（2023）「子供に伝えたい和の技術」文溪堂 〇　参考文献　山下裕二 監修（2022）「伝統の美がひかる！江戸時代の天才絵師　尾形光琳」ほるぶ出版 〇　参考文献　富澤輝実子 著/岡田知子 イラスト（2025）「きもの文様暦」淡交社 〇　参考文献　善養寺ススム 文・絵/江戸人文研究会 編（2015）「絵で見る江戸の女子図鑑」廣済堂出版 〇　参考文献　岩田ちえ子/中村圭子 編著（2019）「長襦袢の魅力」河出書房新社 〇　参考文献　織田きもの専門学校 監修（2024）「楽しむ伝統文化 着物」保育社 〇　参考文献　八條忠基 著（2021）「日本の装束解剖図鑑」エクスナレッジ 〇　参考文献　八條忠基 著（2020）「有職の色彩図鑑」淡交社 〇　参考文献　赤木美智 著/太田記念美術館 監修（2023）（美人画で味わう江戸の浮世絵おしゃれ図鑑」メイツユニバーサルコンテンツ 〇　参考文献　山田順子 著（2019）「時代考証家のきもの指南」徳間書店 〇　参考文献　池上良太 著（2006）「図解日本の装束」新紀元社 〇　参考文献　田口榮一 監修/稲本万里子 執筆（2009）「すぐわかる源氏物語の絵画」東京美術 〇　参考文献　（2013）「日本の文様」バイインターナショナル