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脱感作をしたらむしろ悪化しました【パニック症などの「慣らす」治療、無理はしない。精神科医が10.5分でまとめ】

0:05 はじめに 0:32 脱感作と、パニック症など適応の精神疾患 2:40 不安は回避ではなく脱感作で克服 3:46 脱感作は「無理しすぎる」とむしろ悪化する 5:12 脱感作がうまくいくコツ 6:01 まとめ パニック症などの各種の不安症の治療で、不安に慣らす「脱感作法」を行いますが、これは少ない負荷から徐々に行うことが大事です。もし強すぎる負荷をかけてしまうと、発作などが起こり、逆効果になる恐れがあります。 精神科医が約7分の動画にまとめています。 出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長） こころ診療所吉祥寺駅前　https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所　https://fuchu-kokoro.com チャンネル登録お願いします　   / こころ診療所チャンネル   ↓↓内容の詳細は下記になります。 ＜ご質問：脱感作をしたらむしろ悪化しました＞ ご質問にお答えします。今回は「脱感作をしたらむしろ悪化しました」になります。よろしくお願いします。 今回お受けしましたご質問は「パニック症に対して不安に徐々に慣らす脱感作法という治療したところ、むしろ悪化してしまいました」というご質問になります。 シンプルなお答えとしては、この脱感作法、「あくまで無理はせず、徐々に慣らすのが大事」という風にお答えします。 ＜脱感作とは＞ この「脱感作法」ですけれども、これは不安などに徐々に慣らすことで、その克服を図っていく方法になります。 パニック症（パニック障害）をはじめ、各種の不安症に対してよく用いられる方法です。 このコツとしては無理をせず、徐々に慣らしていくというのがポイントになってきます。 ＜主な脱感作法を使う精神疾患＞ まずはパニック症（パニック障害）です。 電車などパニック発作が起こる、あと予期不安が起こる場所に対して、はじめは各駅停車2分など短時間から慣らしていって、慣れてきたらだんだん負荷を強くする。混んでいる電車であったり、10分20分と長くしていったりということをしていきます。 続いてが社会不安症になります。 これは対人場面・人が多いところで強い不安が出る症状になりますので、まずは人が少しいるような比較的不安が少ないところから徐々に慣らしていきまして、慣れてきたら、だんだん人の数を増やしていったりするということになります。 次は全般性不安障害になります。 これはさまざまなこと、全般的に不安が強いという症状になりますので、これは苦手なことの中で比較的「まだ慣らしやすいこと」から1個ずつ徐々にこの脱感作をやっていくということになります。 ＜より広くとると＞ より広くとりますと、他の部分でも脱感作ということがあります。 まずは、強迫性障害になりますけれども、このときは「曝露反応妨害法」という言い方をします。 例えば、手洗いをしないと不安という確認がある方だと「手洗い」という確認行為をあえてしないことによって、そこで出てくる不安に対して「脱感作」慣らしていくということをしていきます。 続きまして、「休職をしている時のうつ病」の方です。 復帰をする前に、いわゆる復帰訓練ということをやっていきます。仕事に通う通勤などに対して、不安などに徐々に慣らしていくということをしていきます。 次は、不登校の方のいわゆる登校訓練になります。 これは不登校だった方が再び登校するために一気に登校すると強い不安が来てしまうので、初めは保健室に登校したり、人が少ないところだけ行ったりとか、そういう段階的に慣らしていくという方法をとる場合があります。 ＜不安に回避は✕＞ この不安に対して、その場を回避する・かわすというやり方をとる方もいますが、これはあまりお勧めはできません。 これは苦手な場面を回避しますと、一見不安というのはなくなるんですけれども、これは解決になってなくて、似た場面になってまた発作は起きます。 そして、活動の範囲が狭まってしまいまして、似たような場面でも同様な強い不安が出てしまいます。 そうすると、さらにその場面も回避するようになってしまうと、どんどん行動範囲が狭まってしまって、悪循環に至ると。人によっては外に出にくくなってしまう方も中にはいらっしゃいます。 ＜脱感作で不安を克服＞ なので、脱感作・回避の逆であります「脱感作」で不安を克服するということをしていきます。 不安な場面を回避せず、あえて「慣らす」ことによって初めは不安があるけれども、時間が経つして慣れてきて克服していくと。 すると、その場面に対する予期不安・「また起こるんじゃないか」という不安は減ってきまして、似た場面をもう一回経験すると、あまり不安なくよりスムーズに克服ができます。 そして、だんだん負荷を増やしていきまして、繰り返し練習すると、それによって幅広い場面で不安を克服することができる。 こういった方法になってきます。 ＜脱感作で無理しすぎると悪化することがある＞ ここでご質問です。では、「なぜ悪化することがあるんですか」というご質問ですけれども、お答えとしては「無理をし過ぎると逆効果になることがあります」というふうにお答えします。 例として、電車でパニック発作が起こる方について見ていきます。 電車で繰り返し、パニック発作が起きて、電車に対してまた発作を取るんじゃないかという予期不安がある方が心療内科を受診してパニック症の診断を受けました。 抗うつ薬の治療を始めて3週間ほどすると改善してきて、だいぶ落ち着いてきたと。そのために「脱感作」慣らすことを始めていきました。 初めは「各駅停車・2駅だけ」をやったところ、特に不安も出なくて問題なくクリアができたと。 これでもう大丈夫と思って特急にちょっと長く乗ってみたと。そうしたところを5分ほどして再度発作が出てしまったと。 その後発作を繰り返して、また発作起こるんじゃないかという不安も再燃ぶり返してしまったという方の例です。 ＜脱感作と結果＞ ここで脱感作と結果というところですけれども、これは程よい強さの刺激だと脱感作によって慣れていって、うまく行って不安が減るということになります。 ただし、ここで「不安が強すぎる場面」になってしまいますと、先ほどの例のように発作であったり、強い不安が起きてしまって、かえってその後も不安が強くなってしまう。逆効果になってしまうという結果になります。 なので「脱感作法」慣らすということは、うまく行く必要があるということなんです。 ＜脱感作がうまくいくコツ＞ ここを元に脱感作がうまく行くコツを見ていくと、まず初めは軽めから本当に徐々に慣らしていく、軽すぎるんじゃないかというところから徐々に慣らしていくことが大事です。 そして、うまく行っても大丈夫だといって焦らずに、徐々に慣らすことを続けていくのが大事になってきます。 そして、もし不調になった時のための頓服薬というのを、もし受診されている方は持っておきまして、あと調子悪い時・不調な時はあまり無理をしないということをお勧めします。 ＜無理をしたらいけない場面＞ まずは体調が悪い時、こういう時は発作など起こりやすくなります。 後はストレスやイライラがある時、緊張が強いと発作が起きやすくなります。 後は疲れている時、やはりこれも発作が起きるリスクはあります。 不安は無理をせず、徐々に慣らすということが大事になります。 ＜まとめ＞ 今回はご質問「脱感作をしたらむしろ悪化しました」について見てきました。 脱感作は不安などに対して徐々に慣らすことで克服する方法になってきます。各種の不安障害のほか、広くは不登校などに対しても使うことがある方法になります。 これは、その場面をかわす「回避」と違って、長期的な意味で慣らして改善することに有効なものになりますけれども、仮に強すぎる不安に対して慣らそうとしてしまいますと、かえって発作が起きるなどして、逆効果になってしまうおそれがあります。 その為、はじめは軽めから、順調であってもあまり焦らず徐々に慣らしていきまして、そして不調な時は無理をしないで・その時は無理をしないということが大事になってきます。 こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station） 府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル６階、☎0422-26-5695) #脱感作 　#系統的脱感作法 　#パニック症　#パニック障害　#不安障害　　 【解説者】 医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎 精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医） 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。